概要
「土星の衛星タイタンの地表を写した画像は、不自然に加工されたものであり、タイタンに住む生命体の文明の証拠を隠そうとしたものである。しかし画像解析の結果、隠しきれない証拠が出てきた!」というようなサイトがあったので検証。
詳細
NASAとESA(欧州宇宙機関)が1997年に打ち上げ、2004年に土星に着いた探査機カッシーニは、2005年に子探査機ホイヘンスを衛星のタイタンに着陸させ、写真撮影や大気の分析などを行なった。調べたところ、問題の画像自体はたしかにNASAから2008年7月30日に公開されていた。
しかし、情報ソースのリンクを見てもらえればわかるが、
「このアーティストコンセプトは、鏡——スモッグがかった衛星タイタンの表面のなめらかな湖——を示します。」と説明がある。
要するにタイタン表面の想像図として作られたもので、実際のタイタン表面の写真ではない。
一から描かれた絵ではなく、地球の風景写真を元にしていると思う。
ページ右上の情報欄にも、カメラやレーダーで実際に撮影した画像にはある撮影機器のInstrumentの項目がない。
オリジナル画像は上記の480×275ピクセルの小さなものだ。それを陰謀サイトでは過剰に拡大したり色を変えたりして検証している。
過剰な拡大で不鮮明になったピクセルを、ひねくれた解釈で「人がいる」とか「建物がある」とか
いろいろ画像をこねくり回す前に、英語の説明ぐらい読めばいいのに。
NASAも想像図と実際の写真をごっちゃに置いておくのはまぎらわしいと思ったのか、この後の想像図からはタイトルに Artist Concept と入れるようにしたようだ。
実際の地表写真
これが実際に撮影されたタイタンの地表の写真だ。
他にもある想像図
NASAジェット推進研究所のサイトには、タイタンに関しての想像図が他にもあるので、いくつかピックアップしてみた。PIA16634: Floating Ice on Titan Lakes?(タイタンの湖に浮かぶ氷?)
PIA11838: Rainy Day at Hotei Arcus (Artist's Concept)(雨の日のホテイ弧状の地形)
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