Tungska, Russia
概要
爆発によってなぎ倒された木々 |
謎の飛行物体がシベリア上空で大爆発!
隕石か、核爆発か、はたまたUFOか!?
隕石か、核爆発か、はたまたUFOか!?
詳細
早朝の大爆発!
その日朝7時頃、シベリアの森林地帯上空に強い光を放ちながら高速に飛行する物体が現れ、大爆発を起こした。巨大なキノコ雲ができ、数百km先まで大音響が響いた。
爆心地から600km離れた地点でも、ボートに乗った人が川に投げ出されたり、馬が衝撃波で倒れたり、シベリア鉄道が緊急停止したりした。 爆発地点では半径30kmの樹木が炎上、2,000平方km(東京都の面積に匹敵)にわたって樹木がなぎ倒されていたことが後日の調査でわかった。
その後3日間(数ヶ月間または事件の前兆現象として数週間前からという説もある)、遠く離れたロンドンやパリでは夜間に灯りなしで新聞を読むことができるほどの発光現象が起こり(一時は昼間のように明るくなったという「タイムズ」紙への投稿がある)、シベリアの黄緑色の雨雲がときどきピンクに変わったという。
爆発前に不思議な黒い雨が降ったという報告もある。
当初、これは隕石によるものと考えられていたが、現場にクレーターなどは見られず、隕石自体も発見されなかった。
近くに村がなかったため、この事件で亡くなったという人の記録はない。
1958年から調査を行ったソ連隕石学会の調査団は、自記気圧計の記録などから、隕石が空中で爆発したと結論づけた。1万分の1の森林の模型を使って倒木の実験をしたゾトキン博士らによって、爆発は地上約10kmの上空で起きたことがわかった。
衝突した方向と角度から、エンケ彗星(3.3年の周期で太陽の回りを公転している)のかけらではないかという説が有力視されている。彗星の核は氷状のものなので、落下しても溶けてしまうために核が見つからないのだ。
それに見合う破壊力を持った彗星が接近していた記録は見当たらないと書かれた資料もあるが、1908年にエンケ彗星が接近していたことが確認されている。ただし、昼間は太陽の輝きで隠されて肉眼では確認できず、また小さいために夜でも輝きが足りずに見えなかったのである。
その後3日間(数ヶ月間または事件の前兆現象として数週間前からという説もある)、遠く離れたロンドンやパリでは夜間に灯りなしで新聞を読むことができるほどの発光現象が起こり(一時は昼間のように明るくなったという「タイムズ」紙への投稿がある)、シベリアの黄緑色の雨雲がときどきピンクに変わったという。
爆発前に不思議な黒い雨が降ったという報告もある。
当初、これは隕石によるものと考えられていたが、現場にクレーターなどは見られず、隕石自体も発見されなかった。
近くに村がなかったため、この事件で亡くなったという人の記録はない。
13年後の初調査と有力な説
当時はロシア革命前の混乱期であったため、ロシア科学アカデミーによって実際に調査が始まったのは実に13年後の1921年であった。聞き取り調査により徐々に、火球が確認されたこと、火災が起こっていたことなどがわかってきた。1958年から調査を行ったソ連隕石学会の調査団は、自記気圧計の記録などから、隕石が空中で爆発したと結論づけた。1万分の1の森林の模型を使って倒木の実験をしたゾトキン博士らによって、爆発は地上約10kmの上空で起きたことがわかった。
彗星爆発説
この事件の研究家のフェセンコフ教授は、この爆発が地磁気に大きな影響を与えたこと、発光現象の様子などから、彗星がツングースカ上空で爆発したと発表した。衝突した方向と角度から、エンケ彗星(3.3年の周期で太陽の回りを公転している)のかけらではないかという説が有力視されている。彗星の核は氷状のものなので、落下しても溶けてしまうために核が見つからないのだ。
それに見合う破壊力を持った彗星が接近していた記録は見当たらないと書かれた資料もあるが、1908年にエンケ彗星が接近していたことが確認されている。ただし、昼間は太陽の輝きで隠されて肉眼では確認できず、また小さいために夜でも輝きが足りずに見えなかったのである。
2008年のチェコ湖の調査
NHK教育テレビ サイエンスZEROより |
イタリアのボローニャ大学ジュゼッペ・ロンゴ教授、国立研究委員会ルカ・ガスペリーニ博士による2008年の調査によれば、爆心地の北西8kmにあるチェコ湖の湖底は付近の他の湖と違って深く鋭角にえぐれており、音波による調査でも地層が押しつぶされていることがわかった。
教授達は南東からやって来た小天体が爆発し、その破片がチェコ湖を作ったのではないかと予想している。
アメリカのサンディア国立研究所のマーク・ボスロウ博士の研究によれば、直径50mの小惑星が上空8500mで爆発し、その衝撃波でチェコ湖ができたと考えられるという。
しかし、爆発が直接影響したのではないかも知れない。1969年、爆発後にカラマツや樺の木が異常な成長をしていたことがわかった。爆発以前の年輪幅が0.4〜2mm程度だったのに対し、爆発後は5〜10mmにもなっていたのだ。
教授達は南東からやって来た小天体が爆発し、その破片がチェコ湖を作ったのではないかと予想している。
アメリカのサンディア国立研究所のマーク・ボスロウ博士の研究によれば、直径50mの小惑星が上空8500mで爆発し、その衝撃波でチェコ湖ができたと考えられるという。
放射能の影響の有無
爆発後、成長が著しくなった年輪 |
しかしこれは周りの木が爆風で倒されて栄養と日当たりが良くなったためではないかとも推測される。
こげた木片からは放射性同位元素セシウム137が検出されたとされる。
事件後、木の年輪中の放射性炭素が1%上昇していると報告されたが、検証の結果、それは自然の変化の範囲内であった。
爆発後に付近のトナカイにかさぶたが生じたため、核爆発による放射能疾患だったとする科学者もいたが、単に爆発にともなう熱によるものである可能性が高い。事実、物体の熱を浴びた人に放射能疾患は見られず、その後も元気に暮らしていた。
航空機設計家のモノツコフは、物体の飛行コースを割り出し、爆発時に物体が秒速0.7km〜1kmの速度で飛行していたと推定した。これは天体の落下速度としては遅すぎる数値であるという。
ソ連のUFO研究家フェリックス・ジゲルとソ連の物理学者(同じくUFO研究家でもあるようだ)アレクセイ・ゾロトフらは、あの爆発が広島型原爆の2,000倍以上のエネルギーを持つ核爆発であると発表し、宇宙船爆発説を支持した。
ジゲルによれば、物体は大気圏突入後、何度か進路を変えたことが確認されたという。しかしそれをはっきり証言した人はいなかったようである。
より大きな地図で UFO事件マップ を表示
北西8kmほどに、爆発によってできたと考えられるチェコ湖がある。
事件後13年以上もたってからの調査であることを考えると、物体の落下速度、飛行コースなどに関する情報が正しいかどうか疑わしい。ヨーロッパでの発光現象、放射性同位元素の検出などは、情報が正しいのであれば興味深い。
彗星か、隕石か、小惑星か、いまだ様々な説が語られているようだが、さすがにUFO爆発説はないであろう。
何はともあれ、人的被害の少ない地域への落下で良かった。
2012年2月15日朝9時(日本時間午後2時)頃、ロシアのウラル地方のチェリャビンスク(Chelyabinsk)市上空を、音速の50倍の速度で大気圏突入した隕石が通過し、衝撃波で窓が割れるなどして1200人以上が重軽傷を負った。→旧UFO事件簿/UFOニュース2013年
隕石は最後に爆発したが、破片の発見は困難だという。
NASAの算出によれば、隕石は直径17m、重さ1万トンだという。
ツングースカ事件でも出なかった人的被害が出るという非常にまれな出来事となった。
こげた木片からは放射性同位元素セシウム137が検出されたとされる。
事件後、木の年輪中の放射性炭素が1%上昇していると報告されたが、検証の結果、それは自然の変化の範囲内であった。
爆発後に付近のトナカイにかさぶたが生じたため、核爆発による放射能疾患だったとする科学者もいたが、単に爆発にともなう熱によるものである可能性が高い。事実、物体の熱を浴びた人に放射能疾患は見られず、その後も元気に暮らしていた。
UFO墜落説
ソ連のSF作家アレクサンドル・カザンツェフが1946年に「爆発は宇宙人の巨大宇宙船がシベリア上空で核爆発を起こしたのではないか」という内容の小説「爆発」を発表し、それ以後UFO墜落説が有名になる。航空機設計家のモノツコフは、物体の飛行コースを割り出し、爆発時に物体が秒速0.7km〜1kmの速度で飛行していたと推定した。これは天体の落下速度としては遅すぎる数値であるという。
ソ連のUFO研究家フェリックス・ジゲルとソ連の物理学者(同じくUFO研究家でもあるようだ)アレクセイ・ゾロトフらは、あの爆発が広島型原爆の2,000倍以上のエネルギーを持つ核爆発であると発表し、宇宙船爆発説を支持した。
ジゲルによれば、物体は大気圏突入後、何度か進路を変えたことが確認されたという。しかしそれをはっきり証言した人はいなかったようである。
爆心地の地図
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考察
宇宙船の爆発説は面白いが、隕石説の否定根拠同様、こちらも宇宙船の機体の破片などが見つかっていないのだから否定されてもやむを得まい。事件後13年以上もたってからの調査であることを考えると、物体の落下速度、飛行コースなどに関する情報が正しいかどうか疑わしい。ヨーロッパでの発光現象、放射性同位元素の検出などは、情報が正しいのであれば興味深い。
彗星か、隕石か、小惑星か、いまだ様々な説が語られているようだが、さすがにUFO爆発説はないであろう。
何はともあれ、人的被害の少ない地域への落下で良かった。
2012年にもロシアに隕石落下
隕石は最後に爆発したが、破片の発見は困難だという。
NASAの算出によれば、隕石は直径17m、重さ1万トンだという。
ツングースカ事件でも出なかった人的被害が出るという非常にまれな出来事となった。
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参考資料
- 学研・世界UFO大百科復刻版(ムー特別編集)
- 教育社・超常現象の謎に挑む(監修コリン・ウィルソン)
- Wikipedia・ツングースカ大爆発
- Wikipedia・エンケ彗星
- 20世紀最大の謎…ツングースカ事件(上村敏夫)
- NHK教育テレビ・2012年6月3日サイエンスZERO「地球に迫る天体衝突の脅威」
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