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2017年11月12日日曜日

捕まった宇宙人写真

1950年頃/メキシコ/メキシコシティー?
Mexico City, Mexico?

概要


宇宙人写真としては非常に有名だが、出典や周辺情報がいまひとつはっきりせず、謎の多かった「捕まった宇宙人写真」である。
これまで語られていた噂の数々と、ついに判明したその正体についてまとめる。

詳細

語られる諸説

この写真にまつわるエピソードとして以下のようなものが語られていたが、いずれも確証はなかった。
  • 1950年頃、西ドイツのケルンの新聞に掲載されたらしい
  • メキシコシティー付近に墜落したUFOから発見された宇宙人だと言われる
  • 墜落したUFOには2人の宇宙人がいて、1人はすでに息絶えてきた
  • 宇宙人を捕まえたのは、アメリカのCIAとも、FBIとも、旧ソ連(現ロシア)のKGBとも言われる
  • 調査のためにドイツに送られた
  • 宇宙人は捕まった時は生きていたが、移送途中に亡くなり、ドロドロに溶けてしまった
  • 亡くなった宇宙人の体はアメリカのライトパターソン空軍基地に運ばれ、冷凍保存されている

数々のおかしな点

宇宙人のアップ

ドイツの新聞の謎

そもそも、最初に掲載されたドイツの新聞を誰か調べていないのだろうか。一次資料に当たってみるのは最も大切なはずだ。

写真の人々の謎

場所がメキシコというわりに、みんな厚着をしているのが不自然だ。(もっとも、メキシコにも寒い季節はあるだろうが)
少なくとも写真に写っている人達はメキシコ人っぽく見えない。

ドイツに運ばれた謎

メキシコで捕えた宇宙人を、なぜわざわざ遠くドイツにまで運ばなければいけないのだろう? よほどドイツでなければならない事情があればともかく、まずはできるだけ近くの施設に運ぶはずだ。捕えたのがアメリカの機関であれば、アメリカの施設に運ぶのが自然だろう。
ドイツの新聞に載ったというのが、いつの間にかドイツに運ばれたと勘違いされるようになったのではないだろうか?

他国の機関が回収する謎

メキシコに墜落したUFOを他国の機関が回収するというのがそもそも妙だ。いくら大国であっても、隣国の領土に勝手に入ってきては領土侵犯だ。
よほどメキシコ政府から頼まれたとして、謎の飛行物体の墜落と未知の生物の発見という急を要する事態に対し、わざわざ時間がかかる他国の機関を呼ぶということ自体がおかしい。

未知の生物に対して軽装の謎

未知の生物を捕獲するにあたって、捕獲者の服装がスパイ映画にでも出てきそうなトレンチコートというのもおかしい。しかもどうやら素手で手をつないでいる。暴れるかも知れないし、未知の病気や毒を持っているかも知れないのにあまりに軽装過ぎる。
こうした生物を捕獲するなら、防護服に身を包んで慎重に捕獲し、そのまま無菌のケースにでも入れるか何かするだろう。

合成写真説、サル説

アポロ計画の実験で人より早く宇宙に行ったチンパンジーのハム君
懐疑的な説として、女性達の足の位置がおかしいから合成写真だという説、宇宙人はチンパンジーなどの毛を剃ったものだという説などがある。
サルにしては足が長くスラッとし過ぎているし、顔もサルには見えない。サルの写真を修整したものだと言う人もいるが、修正するならいくらでもできてしまうので、これ以上はふれない。
股間はパンツを、足にはブーツをはいているのだろうか。足の白く見えるところだけ見るとブーツがぶかぶかで脱げてしまいそうに見えるし、黒く影として写っている部分を考えると不自然に太い足に見える。

とうとう真相判明!

UFO好きを60年以上にわたって悩ませてきた世界一有名な宇宙人写真の真相が、2012年になってようやく判明した。

捕まった宇宙人写真の真実

1950年3月29日/ドイツ/ケルン市

真相判明!

長年謎と話題を振りまいてきたこの捕まった宇宙人写真だが、とうとうその真相が解明された。
結論から言うと、1950年4月に、ドイツはケルン市の週刊誌「Neue Illustrierte(ノイエ・イルストリーアテ)」の創刊号に掲載された、エイプリルフール記事だったのだ。
このことを探り当てたのは、不思議な写真の検証などを行っている海外のサイトforgetomoriだ。

以下、そのサイトから当時の記事の内容を要約して紹介する。

Neue Illustrierte ドイツ、ケルン市
1950年3月29日発売、4月1日号3ページ

火星の人々!

アリゾナ州の砂漠からの特別レポート

1950年3月21日21時45分

アメリカの戦闘機は、数週間にわたって謎の飛行物体を追跡していた。この円盤は他の飛行物体に遭遇すると急旋回することができた。
急旋回する瞬間に円盤が空中で一時停止したので、D.Ussel軍曹が対空ロケットで攻撃したところ、謎の円盤は大きな花火のように破裂し、20個ほどの銀色に輝くカプセルが地上に落ちた。

22時10分 デスバレーからの報告

不気味な侵入者を観察
カプセルの発射地点から半径150km圏内の全員が待機態勢を取った。
陸軍省に届いた報告によれば、「最初は青白い光が見え、そして人影が明らかに戸惑うように動き回っていた。滑るように動くその様はまるで水中のダイバーのようだった。」

銀のカプセルが爆発

初めて捕えられた火星人!
アリゾナ州フェニックスでの目撃者の証言「私はすごい瞬間に立ち会ったことに気付きました。人類史上初めて宇宙からの訪問客を見たのです! しかし同時に衝撃を受けました。このアルミニウム人間は絶望に満たされていたようでした。彼の体はアルミ箔のように光る服を身にまとっていました。」
フェニックスの天文台は、この服は宇宙線から身を守るためではないかと推測した。

科学は新しいパズルに直面した

火星の文字
暗号の専門家達は、これが普通のアルファベットなのか、鏡文字なのかどうかを調べています。

大きな驚き

火星人は…身長わずか70cm
火星人は特別な真空の部屋に移されました。
陸軍省の発表「生物が火星から来たかどうかは定かではないが、唯一確信できるのは、太陽系もしくは近隣の星の惑星から来たことである。」
陸軍省はさらに「我々の写真は…」と続けた。「…唯一の本物であり、世界中の報道機関に出回っている安っぽいニセモノに対して警告をする。」

考察

エイプリルフールの記事らしく、ジョークだとわかるようないくつかのヒントが隠されている。
例えばD.Ussel軍曹というのは、ドイツ語で赤ちゃんを意味するDusselのことだそうだ。

翌週の4月5日発売号では「本誌は3月29日の4月号において、読者に対してイタズラをしました。火星人着陸は作り話です。D.Ussel軍曹(Dussel)は実在しません。火星人はスケートのグループ、Lidstonesのメンバーでした。」とネタを明かしている。
捕まった宇宙人のモデル?
forgetomoriではThe Lidstonesというスケート集団の写真を探し、ローラースケート好きの人が運営するサイト「susan-a-miller.com!」で、1962年に出版された本の中の「ジョーン(Joan)とジェームズ・リドストーン(James Lidstone)」という写真を探し当てた。
「画質が悪いため同一人物かどうか決めつけられないが、この男性と火星人の類似点を見つけた。興味深いのは、火星人のブーツがスケーター・ブーツのようであることだ。有名な合成写真で、火星人はほとんど裸だが、帽子と銀のジャンプスーツを着ているように思える。この衣装がスケーターの公演で使われたことはありえるだろう。」としている。
2番目の写真についても、「スケートを滑っていることをモチーフにしていることも十分にありえる。」とし、「空飛ぶ円盤に関しては、1950年1月11日の雑誌に載ったE.W.ケイ博士の写真(注:Popular Mechanics Magazineという、最新の機械などを紹介しているアメリカの雑誌に、円盤型飛行機の試作機を発表している)掲載されたを修整したものだと確認された。」
上下回転、左右反転してみると…
火星の文字についても、ドイツ語の「Die Erde gefällt uns nicht. Wir möchten wieder nach Hause.」を鏡文字にしたものであることがわかった。(意味は「我々は地球が嫌いだ。家に帰りたい。」)

尾ひれの整理

結局大方の予想どおりニセモノ写真であったのだが、今まで長きにわたって誰もこの週刊誌を調べていなかったことになる。「新聞」ということにこだわり過ぎた結果、見つからなかったのだろうか。
それにしてもforgetomoriの調査能力には脱帽する。サイトを見てみると、以前から何度もこの件について報告しているようだ。過去の記事も追って読んでみたいと思う。

これまで附随して語られてきた「メキシコに墜落した」「FBI、CIA、KGBなどが捕獲」「ドイツに移送された」「ドロドロに溶けてしまった」などという話は、どこにも書かれていないことにも注目したい。話に尾ひれが付いてしまったものだったのだ。

噂の元ネタ?

真相がわかるまではメキシコシティ付近に墜落したUFOから回収されたという噂が立っていたわけだが、これはトマトマンの宇宙人写真で関連を指摘された、1948年にメキシコとの国境地帯でのUFO墜落と宇宙人の遺体回収事件あたりが元ネタになっていたのではないか?
捕まった宇宙人写真のメキシコシティと、トマトマンのヌエボラレドではかなり距離は離れているものの、噂としてざっくりメキシコというくくりで扱われたんじゃないだろうか。
いつ頃からその噂が立っていたのかにもよろう。

日本での関連情報

南山宏著「世界の円盤ミステリー」より
当サイト談話室で「demidead」さんに教えていただいたところによると、南山宏著「世界の円盤ミステリー」(秋田書店刊1968年初版。demideadさん所有は1972年の11版)に、Ussel軍曹が写した写真として冒頭のUFOのイラストが掲載されていた。
Ussel軍曹の国籍がドイツ人になっているなど相違はあるが、Neue Illustrierte誌から伝わった情報が元になっているのだろう。オリジナルを見たのではなく、それを引用した別の記事を引いたと思われる。
宇宙人写真とセットで伝わっていないことが興味深い。このようにして情報が少しずつ曲がって伝わっていくのであろう。

NHKの番組から

2013年6月12日にNHK BSプレミアムで放送された「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー File.02」でこの写真について取り上げられた。
それによれば、Neue Illustrierte誌に掲載された2ヶ月後の1950年6月に、アメリカ空軍の雑誌「トーク・オブ・タイムズ」がエイプリルフールネタであることを明らかにせずにこの写真を転載したため、空軍のお墨付きを得たような形でさらに転載されて広まったのだという。

Talk of Times誌をネット検索してみたが、まだ見つかっていない。
かわりに1947年創刊で現在も刊行中のAirForce Times紙という空軍の機関紙らしい週刊タブロイド紙があることがわかった。英語のWikipediaなのでまだよく読んでいないが、関連があるかもしれない。

参考資料

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