人類が移住できる可能性のある唯一の惑星
赤い惑星
地球の一つ外の軌道を回る太陽系第4惑星。
大気の組成は二酸化炭素が95%を占めるが、大気の絶対量が少ないため、地球温暖化などとは状況が違う。
大気が薄いのは地球にはある磁気圏がないためで、太陽風によって大気が吹き飛ばされてしまったためと考えられる。
火星地下に眠るの水
かつては地球と同様に地表に豊富な水があったと考えられるが、現在は地下に氷として眠っている可能性が指摘されており、実際NASAの調査によって氷が確認されている。1999年8月と2005年9月に撮影した同じ場所の写真を見ると、明らかに液体が流れ落ちた痕跡が見られた。
NASAより |
テラフォーミング
他の惑星を地球のような環境に改造することをテラフォーミングという。火星は位置的、環境的に人類が移住できる可能性が最も高い星なので、科学者の間でも真剣にテラフォーミングの方法が研究されている。温室効果ガスであるフロンガスを火星の土から生成して大気に放出する。
気温が上がって極冠のドライアイスが溶け、二酸化炭素が発生し、さらに気温が上がる。
地下に凍っていた水が液体に戻ってきて海ができ、温室効果が高い水蒸気を作りさらに気温が上がる。
これによって赤道付近の平均気温が地球の気温近くまで上昇すると考えられている。
その後、光合成をするシアノバクテリアなどの植物プランクトンを海に放して酸素を作る。
テラフォーミングにかかる時間は、開始後100年から数百年程度と見積もられている。
ただし火星には地球のような磁気圏がないため、太陽風によって長い年月の間に吹き飛ばされてしまうだろうし、有害な放射線も地表に降ってくる。オゾン層もないので紫外線も降り注ぐであろう。これらの問題があるため、最終的に宇宙服なしに地表に暮らすのは難しいかも知れない。
探査機バイキングの写真
アメリカの火星探査機バイキング1号の着陸機が、1976年に撮影した地表と空 |
しかしNASAはその写真を間違いだったとすぐに引っ込め、あらためてこれが正しかったとする写真を公開した。その写真の空は赤かったため、火星に地球のような空気があることを隠すために赤いフィルターをかけたのではないかという噂が立った。
探査機による写真の撮影方法は、白黒での撮影が基本となる。最初からカラー写真として撮影した場合、色情報の分だけ解像度が落ちてしまうので、RGB各色のフィルターをかけた白黒写真を3枚撮って、後から合成することで最高の解像度が得られるのだという。
最初の写真は合成処理のときに補正を間違ったために空が青くなり、訂正した写真では正しい色に補正したために赤くなったわけだ。ただ自分の素人目には、少し赤を強調し過ぎてしまったんじゃないかとも思える。
火星探査機オポチュニティーが2007年に撮影した火星の地表と空 赤いというよりは茶色い。黄砂が飛ぶ空のようだ。 NASAより |
ウェルズの火星人襲来
高度な科学を持った火星人が地球に攻めて来るというSF小説が、H.G.ウェルズが1898年(明治31年)出版した「宇宙戦争」(原題:THE WAR OF THE WORLDS)だ。
《あらすじ》1938年10月30日、これをモチーフにしたラジオドラマがアメリカで放送された。プロデューサーは俳優のオーソン・ウェルズ。大衆が信じてパニックになってしまったという有名な逸話がある。
火星から何かが地球に向けて発射されたことが観測され、しばらくしてイギリスの田舎町に筒状の物体が次々と落下した。
中からタコのような無数の触手を持った火星人が出てきて、3本足で歩き回る武器を組み立て、熱線と毒ガスで町を破壊し始める。
家族と離れ離れになった主人公は、パニックになった牧師とともに家の中に閉じ込められ…
ただし、当時の新しいメディアであるラジオに驚異を感じた新聞メディアが大げさに騒いだだけで、実際はさほど大きなパニックにはならなかったという見方もあるようだ。
UFOについての陰謀論者の間では、「政府は、大衆にパニックが起きることを避けるために宇宙人の存在を隠している」ということの根拠の一つとしてこの逸話を挙げることが多い。
火星人はいるのか?
NASAが火星から来た隕石を調べたところ、かつて原始的生命体が存在したと推測される痕跡が発見されて話題となった。→UFOニュース2009年しかし高度な文明を持った知的生命体が存在したかどうかであれば、それは否であろう。それを裏付けるような建造物もなければ、その生活を支えていたであろう動植物の形跡すら見つかっていないのだから。
他の星から来た宇宙人が地下で生活していた(している)可能性を考えた場合、自分が宇宙人の立場だったら厳しい環境の火星にわざわざ住むより、もう少し足をのばして地球に住んでしまったほうがはるかに楽だ。
そういった理由からも、残念ながら火星に知的生命体がいる可能性はないであろう。
参考資料
- ニュートンプレス/火星 赤い惑星の46億年史(フランソワ・フォルジェ、フランソワ・コスタール、フィリップ・ロニョーネ著、Newton編集長 水谷仁訳)
- NASAジェット推進研究所バイキングのページ
- NHK「宇宙」
- Wikipedia/火星
- 誠文堂新光社・天文年鑑2010年版
- Wikipedia/宇宙戦争(H.G.ウェルズ)
- アリゾナ大学 HiRISE(High Resolution Imaging Science Experiment)
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