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2019年12月22日日曜日

金星/よくUFOに間違われる天体

夕空に強く輝く金星(筆写撮影)
2019年12月現在、夕方西の空に極めて明るく輝く金星が見えている。金星は非常に明るく輝くため、UFOと誤認されることが多い。
かつて金星をUFOと間違えて追跡し、酸欠で意識を失い墜落して亡くなったという不幸なマンテル大尉機墜落事件も起きたほど。
そこまでいかなくても、金星が見えている時期はSNSなどでUFOに誤認した報告が増える。

金星は極めて明るい

後述する最大離角時前後の時期には非常に明るさが増し、-4.5等級という1等星の150倍以上の明るさになることがある。これでは知らない人が‪UFO‬と間違えるのもやむを得ないと思う。

星の移動は意外に速い

星なので飛行機のようには動かないが、日周運動(地球の時点)によって1時間で約15度も西に動くので、思ったよりも速く位置が変化する。そのため少し目を離したら位置が変わっていたり、雲に隠れたりするのを怪しんでしまうことも多いようである。
ほかにも、雲の方が動いているのに金星が動いているように錯覚したり。

金星の軌道

金星は地球の内側を公転する惑星(内惑星)なので、地球から見た公転軌道は以下のようになる。
表示の都合でゆがんでいるが、太陽を中心に公転していることがわかるだろう。
地球から見た金星の公転軌道
(球面上の空を平面に表示しているため、表示上ゆがんでいる)
ステラナビゲータでシミュレーション
金星の公転周期(金星の一年)は地球の暦で約225日なので、7ヶ月と少しで太陽の周りを一周していることになる。
そのため、地球から見て太陽の左側(東側)にあれば日没後の西の空に顔を見せ、宵の明星と呼ばれる。
逆に太陽の右側(西側)にあれば日の出前の東の空に顔を見せることとなり、明けの明星と呼ばれる。
地球からの見た目で太陽に近い場合は空が明るすぎるため、肉眼では見ることができない。

東方最大離角と西方最大離角

地球から見て金星がどれだけ太陽から離れているかというのが離角である。それが最大になった時を最大離角と言う。
以下の図で公転方向が一致していないように見えるが、地球と金星の公転面の傾きの違いにより、金星の公転面を上から見たり下から見たりすることになるためだ。

東方最大離角

見えているのは夕方の西の空だが、太陽から見て東側にあるので「東方〜」となる。
東方最大離角の時(2020年3月25日)の金星
光度-4.4等
ステラナビゲータでシミュレーション

西方最大離角

見えているのは明け方の東の空だが、太陽から見て西側にあるので「西方〜」となる。
西方最大離角の時(2020年8月13日)の金星
光度-4.3等
ステラナビゲータでシミュレーション

見える時間は異なる

最大離角の頃は、当然日の出前/日没後に金星が見られる時間が長くなるが、最大離角になる季節によっても異なるので一概に何時頃とは言えない。
来年の場合は夜の10時前にようやく沈んだり(2020年3月25日東方最大離角)、夜中1時半過ぎに早くも地平から上り始めたり(2020年8月13日西方最大離角)することもある。

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