4日の米軍機による中国の偵察気球の撃墜の後、同様に領空侵犯したとされる飛行物体の撃墜が続いている。
2月10日/アラスカ
2月10日にはアラスカで米軍のF-22戦闘機が上空約12,000mを飛行していた物体を撃墜。民間航空の安全に対して脅威だったため、国防総省の勧告によってバイデン大統領が撃墜を命じたもの。
- 飛行高度:約12,000m
- 大きさ:小型車程度(4日の中国の気球よりはるかに小さいという)
- 人は乗っていない
- 操縦できる能力なし
- 形状:円筒形で銀色がかった灰色
——円筒形で銀色がかったなどという点がいわゆる葉巻型UFOなどを想起してしまうが、冷静に見ていきたい。
2月11日/カナダ
情報ソース:JIJI.COM
カナダのトルドー首相は、カナダ北西部の領空を侵犯し、民間航空の安全に影響が出る懸念が生じた未確認物体を、NORAD(ノーラッド/北米航空宇宙防衛司令部:アメリカとカナダが共同運営する防衛組織)の米軍機F-22戦闘機が撃墜したと発表した。
- 撃墜日時:11日午後3時40分(日本時間12日5時40分)頃
- 撃墜場所:北西部ユーコン準州上空
- 飛行高度:約12,000m
- 大きさ:不明
- 形状:円筒形
I ordered the take down of an unidentified object that violated Canadian airspace. @NORADCommand shot down the object over the Yukon. Canadian and U.S. aircraft were scrambled, and a U.S. F-22 successfully fired at the object.
— Justin Trudeau (@JustinTrudeau) February 11, 2023
トルドー首相のツイート
——この物体も円筒形というが、いったいどんなものだろう?
河野太郎元防衛大臣の見解
2020年6月に仙台上空に今回同様の気球が飛来した際に防衛大臣を務めていた河野太郎衆議院議員が、自身のブログで本件について見解を述べた。
要約すると「(日本が気球を撃墜しなかったのは)当時は気球がどこから来たどんなものか詳細な分析を要した」「宮城県警がヘリコプターを出動させている」「今回、米国において気球の正体がはっきりしたので、次に日本上空で気球が発見された時には、自衛隊法第八十四条の対領空侵犯措置に基づいて対処することになる」という。
また2020年8月には、当時の米国エスパー国防長官との会話で「UFOが宇宙人が乗っているものならば心配ないが、某国のものならば、対応が必要だということになった」というのがちょっと面白い。
ただ、当時記者会見で気球が今後どうなるか聞かれた大臣は「気球に聞いて欲しい」と少々無責任な発言をしていたようで、今になって一部ネットで批判をされている様子だ。
——少々言葉尻をとらえることになってしまうが、全ての気球が中国など他国のもの、全ての未確認飛行物体が気球であるわけではないので、きちんと精査した上で個別の対応を願いたい。
2月12日/アメリカ ヒューロン湖
情報ソース:NHK NEWS WEB、Bloomberg
米国防総省高官らは、アメリカとカナダの国境のヒューロン湖上空を飛行していた所属不明の物体を、民間機の飛行に危険を及ぼす恐れがあるとして、バイデン大統領の指示で撃墜したと発表した。
物体について、アメリカ本土に対する軍事的脅威であるとはみなしていないが、情報収集の能力を持っていた可能性があるとした。
- 撃墜日時:12日午後
- 飛行高度:約6,100m
- 大きさ:レーダー検知が難しいほど小さい
- 情報収集能力あり?
- 形状:八角形で糸状のもので吊られていた
- 積載物:なし
What’s going on in #Michigan #Lakehuron #lakemichigan pic.twitter.com/Kxm8nlpr2a
— SalehTrades (@SalehTrades_) February 12, 2023
今回の物体を撃墜に向かう米軍機としてNHKニュースで取り上げられていた動画
最初のもの以外の3つの所属不明飛行物体について、問われた中国外務省の汪文斌報道官は「私は知らない。事実でないことをでっち上げ、中国を中傷するやり方に断固反対する」と述べた上、「アメリカの気球も十数回にわたって中国領空を飛行している」とした。
【#謎の飛行物体 3日連続で“撃墜”】
— 報道ステーション+土日ステ (@hst_tvasahi) February 13, 2023
現地時間12日、米国・カナダ国境のヒューロン湖上空で飛行物体を米軍戦闘機が #撃墜。北米上空での“撃墜”は、2月に入り4回目
NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)
バンハーク司令官
「サウスカロライナ州沖のものは中国の偵察気球だが、それ以外は浮き方で区別できず」 pic.twitter.com/AiXPpbREGW
気球ではなく物体?
情報ソース:CNN.co.jp
NORADのバンハーク司令官は記者団の質問に対し、「私は気球に分類するつもりはない。我々は理由があって物体と呼んでいる」、異星人や地球外生命体が関連している可能性について問われたのに対しては「現段階では全ての可能性を排除しない」と語った。
宇宙人関連の兆候なし
情報ソース:REUTERS
ホワイトハウスのジャンピエール大統領報道官は「物体が宇宙人や地球外生命体の活動の兆候はない」と説明。記者から「本当に地球外生命体だったら教えてくれるか?」と問われると「E.T.の映画は好きだった」と笑いながら答えた。
——気球とは呼ばず、あえて物体と呼ぶのが気になる。気球と風船はともに英語でバルーンになると思うが、もしかしたらこれまでも米軍撮影のUAPだとして公式、非公式に公開されてきたおもちゃの風船のようなものだったりしないだろうか? これまでがこれまでだけに、ちょっと心配になる。
2月12日/中国でも飛行物体撃墜準備?
情報ソース:KYODO
中国山東省青島市の海洋発展局は、山東半島沖で正体不明の飛行物体を発見し、撃墜準備をしていると周辺の漁船に注意を促す通知を出したと、中国メディアが報じた。
しかし本当にそうしたものが確認されたのか、単なる米国への牽制なのかはわかっていないようだ。
さながらUFOフラップ?
連日のように各地で確認され、撃墜される文字どおりの未確認飛行物体…いやUAPと呼んだ方がいいのだろうか?
4日の中国気球に関しては発見から撃墜までの対応が遅いとして、バイデン大統領が野党共和党などから批判されたという。その後の対応はかなり素早くなったようだが、よく調べたりせず、影響を軽視してなんでもかんでもすぐ撃墜するようなことにならないといいが。
また今回たまたま中国の気球が発見されたが、それ以外にも様々な物体が日常的に飛んでいるわけであり、そのほとんどは平和的なものだろう。UFOフラップのように、全米もしくは世界各地で、何でもないもの、またはありもしないものを中国の偵察気球に誤認する事例が増えるんじゃないかと危惧される。疑心暗鬼になって集団ヒステリーを起こし、新たな戦争の火種などにならないといいのだが。
撃墜された物体が円筒形で銀灰色というのも気にかかる。今後もしきちんとした正体が発表されない場合、エイリアン・クラフトだったのではないかというおなじみの陰謀論が出てきてもおかしくない。ロズウェル事件がそうだったように、数十年した後に「実は宇宙人の遺体も回収されていた」なんてデタラメが語られるようにならないことを祈る。
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