5月11日午前10時30分(日本標準時)に発生した太陽フレア(右下) NASAの太陽観測衛星SDO撮影 |
ここ数日、太陽表面でXクラスの大規模なフレア(太陽表面の爆発)が続発し、それによって放出された荷電粒子によって、地球ではこれまで滅多に見られることのなかった日本を含む世界各地の低緯度地域でオーロラが確認された。
筆者がSNSで確認しただけでもイギリス、タスマニア島、ニュージーランド、インド北部、イタリア、ハワイ、日本でも北海道、能登半島、兵庫県北部、栃木県北部などで観測された模様。同じ栃木県でも宇都宮の筆者の自宅からはわからなかった。
北海道名寄市のライブカメラアーカイブによる今回の低緯度オーロラの様子
(ウェザーニュース)
オーロラは、太陽から飛んできたプラズマ状になった荷電粒子が地球の磁場にとらえられ、両極地方に集まって光る現象。その性質上、通常は高緯度地域でのみ見られるが、今回のように荷電粒子の量が多い場合は低緯度地域でも見られるようになる。
懸念される被害
太陽フレアによる大量の荷電粒子は、オーロラが見られてきれいというだけで済まされるものではない。地球の生物を宇宙放射線から守っている磁場を乱し、放射線被曝量が増えたり、人工衛星の故障、GPSによる位置情報の異常、テレビ、ラジオなどの受信障害や通信障害、停電など、深刻な被害を引き起こす事がある。
1989年3月に起きたX15クラスの巨大フレアによる磁気嵐では、カナダのケベック州の電力網が故障して停電が起こり、復旧に数ヶ月もかかる事態となった。
巨大黒点群
3664黒点群(筆写撮影) |
太陽活動は約11年周期で活発化する事がわかっており、昨年から極大期に入っている。これによって磁力線の出入口である黒点が増え、それがフレアにつながっている。
今回、大規模フレアを続発させたのが3664黒点群と呼ばれる巨大な黒点群。すでに自転によって向きが地球から外れたので、フレアが発生しても地球への影響はないだろう。
これ以前に地球の方を向いていた黒点からも大規模なフレアが何度か起きており、それらの荷電粒子がたまりにたまった結果が、今回の低緯度オーロラになったと言っていいだろう。
今後も巨大黒点が誕生するかもしれないので、NASAの太陽観測衛星SDOなどのサイトで定期的にチェックしたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿