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2023年12月11日月曜日

本当に西日本はUFOの多発地帯なのか?

AAROによるUAPホットスポットの地図
2023年5月31日におこなわれた、NASAのUAPに関する公開ミーティングの中で提示された地図上で、日本の関西から西の方面が世界でも有数のUAPホットスポットであるように図示されている。そのため、マスコミやネットで「日本がUFOのホットスポット」であるとされることが目立つ。

しかし、これを最初に発表した際のAARO(全領域異常解決局=米国防総省でUAPに関する調査をおこなっている部局)のカークパトリック室長の発言(以下)によれば、それらの場所は単に米国の情報組織が情報収集をしている場所だからということで、非常に偏った地図になっているということだ。
NASAの公開ミーティングに登壇したAAROのカークパトリック室長
発表時のライブ中継より
「見ていただければわかるとおり、私たちが最も多くの報告を受けている地域は、非常に偏って収集された地図になっています。これは私たちのセンサーが、軍とIC ※1 とFAA ※2 のデータを集めている所です」
※1:米国情報コミュニティ=CIA(中央情報局)やNSA(国家安全保障局)などを含む情報機関によって組織された機関
※2:米連邦航空局

たしかにマーカーは一部西日本〜九州付近にもかかっているようだが、日本海から朝鮮半島にまで広くかかっているように思われるし、どれだけの精度で位置をマーキングしているのかもわからない。これをもって西日本がホットスポットだと評価してしまうのは、早合点すぎるだろう。
無論その一帯にそれだけの目撃情報があったことは否定しないが、全地球的に公平に調べた場合、他の場所に比べて多いかどうかははなはだ疑問だ。
それに(真贋は別として)UFO/UAPの目撃は全世界的なものなのに、日本、中東、アメリカ以外の地域が一切マーキングされていないのだから、やはりカークパトリックの言うとおり偏った地図なのだ。

  • 地図が大雑把で精度が不明
  • 米国の情報組織が収集している地域の情報に基づいている
  • 比較できる全世界的な情報がない

情報が多い=情報が正しいではないことにも注意しなければならない。実際、筆者はX(旧ツイッター)で日本でのUFOの目撃報告をチェックしているが、「UFOではないか?」とツイートされるものはほぼ全てカメラのレンズゴーストや飛行機などの何でもないものばかりだし、西日本に偏っている傾向もなかった。

イギリスのテレグラフ紙では「日本はUFOのホットスポット」というタイトルで、AAROが公開した地図から広島・長崎あたりでの目撃情報が多いと報じているようだが、あの地図からピンポイントで広島、長崎の名前を挙げられるわけがない。単に原爆が落とされた都市を挙げただけだと思われる。

読売新聞でも「サイト上の報告書は、西日本から中国西部にかけての地域を目撃情報の多い「ホットスポット」に分類した」としているが、具体的に日本がホットスポットだと文章で書かれた報告書は見られないので、おそらくあの地図のことだと思われる。ここでいう中国西部というのは、あの地図からは日本の中国地方のことと思うのだが、同紙英語版ではそのまま「western China」と訳してしまっている。もし中華人民共和国の方の中国なら、あの地図のマーキングからは「中国東部」としなければおかしいだろう。
この「西日本から中国西部」というまぎらわしい記述は、他の多くのネットニュースでも見られた。

情報ソース

AARO(全領域異常解決局)サイト、読売新聞オンライン(2023/9/1)47NEWS(2023/11/5)、Pen Online(2023/9/11)、The Telegraph(2023/9/4)

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