発起人会の模様 ニコニコ動画より |
国会に未確認異常現象(UAP)に関しての超党派の議員連盟が発足されることになり、5月28日午前11時から発起人会が行われた。
名称はまだ仮称だが「安全保障から考える未確認異常現象解明議員連盟」になるようで、米国防総省の全領域異常対策室(AARO)を参考に、あくまでも安全保障上、未確認の異常現象に対する情報収集、分析、識別能力の向上をはかり、専門機関の設置を国に求めるとしている。
発起人代表は浜田靖一議員(故浜田幸一議員(ハマコー)の息子)が務める模様だが、これまでもUFO・UAP問題について国会質疑を行なっていた日本維新の会の浅川義治議員が中心となって声かけをしたと思われる。
浅川議員はこれまで、「UFO=宇宙人の乗り物という認識ではなく、他国の秘密兵器の可能性など安全保障としてのUFO問題」として活動をしており、議連もその考えに沿っていると見られる。
議連のメンバー
- 自民党
- 浜田靖一(発起人代表、党国会対策委員長)
- 石破茂(元防衛大臣)
- 中谷元(元防衛大臣)
- 小泉進次郎(衆議院安全保障委員長)
- 熊田裕通
- 中谷真一
- 井野俊郎
- 立憲民主党
- 原口一博
- 日本維新の会
- 馬場伸幸
- 遠藤敬
- 掘井健智
- 岬まき
- 浅川義治
- 公明党
- 三浦のぶひろ(党安全保障部会長)
- 濵地雅一
- 国民民主党
- 浅野哲
- 教育無償化を実現する会
- 前原誠司
この他にも合計90人近い参加者がいて、それは他の議連に比べてかなり多いということだ。
発起人会の様子
今回は発足のお知らせ程度のもので、代表の浜田議員も別スケジュールと重なったため出席せず、少人数の出席者で、マスコミとの質疑応答もなく短時間で終わった。設立総会は6月6日に行われるという。
安全保障に関する事というなら本来大真面目に語られるべきであるのだが、出席議員や非常に多く集まっていたというマスコミからも時折笑いが漏れていた。
2023年5月のNASAの公開ミーティングにおいて、AAROカークパトリック室長が紹介したUAP目撃マップ YouTubeより |
「UFO/UAPは宇宙人とは関係ない」といった明確な説明はなく、AAROの当時のカークパトリック室長が「米国が調査した場所だけが載った偏った地図だ」と注意しながら出したUAP目撃マップを、いまだ関西に目撃が多いという根拠として紹介するなど、お粗末な印象を受けた。
クリストファー(クリス)・メロン To The Stars Academyより |
浅川議員らは会の直前に、クリントン政権などで国防次官補を務めたクリストファー・メロンと1時間対談し、設立総会で基調講演をしてもらうという。メロンはかつては米政府はUFOを隠していないと証言していたそうだが、最近はトム・デロングのUFO調査組織トゥ・ザ・スターズ・アカデミーに参加するなど、ビリーバー色を強めているようだ。UAP騒ぎの発端となった米海軍の一連の映像も、彼が国防総省の人物から受け取ったと証言している。
ちょっと心配な人選
会の終了後に語る石破茂議員 FNNプライムオンラインより |
メンバーには元防衛大臣の石破茂議員の名前もある。2007年の現役大臣時代には不測の事態に備えるという意味で「もし宇宙人が攻めてきたらどうするか?」という記者会見をしていた。しかしUFOが宇宙人の乗り物という可能性は限りなくゼロに近く、AAROもエイリアン・クラフトの可能性はほぼ排除しているし、当然この議連の趣旨とも違うはずだ。
参加にあたってその認識が改まっていたら良かったのだが、会の終了後の取材で宇宙人の声真似をしながら「地球ノ皆サン仲良クシヨウと言ってきたら防衛出動にはならない」と言っており、17年経過してもまだ知識のアップデートがされていない懸念がある。
また昨今、陰謀論者になってしまった原口一博議員の名前があるのが危惧される。
どの有識者に意見を求めるかが試金石
このとおり、参加者の中にはいまだUFO/UAPは宇宙人の乗り物という認識のままの人がいるようだし、安全保障を語る上での雰囲気も砕けすぎの感が否めない。
自衛隊の宇宙作戦群(宇宙作戦隊から新編)などと違い、こちらは明確にUAP調査目的の組織設立を目指している。参加議員達にきちんと誤認とインチキの歴史であるUFO事情をレクチャーし、きちんとした前提知識と行動指針を共有させてくれる有識者が参考人として呼ばれないと、ただの国営オカルト団体になってしまう。
どういった人物に意見を求めるかが、会の本気度、まとも度を測る試金石になるだろう。
ただでさえ「日本政府もUFOを認めたんですよ」などと、カルト的なものに存在が悪用されかねないので、ぜひ十分に注意した運営をしてもらいたい。
——具体的にどういった活動をするのかは決まっていないのかもしれないが、AAROを参考にするようなので、自衛隊員などから目撃証言を収集したりするのだろうか?
浅川議員の、UFOはエイリアン・クラフトにあらずという姿勢はいいのだが、SNSにムーの三上編集長、研究家の竹本良氏らと親しくしている写真を載せたり、事前に知らなかったとはいえ、メキシコ議会でハイメ・マウサンの宇宙人ミイラ茶番につきあってしまったこともある。言動に説得力を持たせるためにはそういったビリーバー、商業オカルトな方達との親交はほどほどにしておいた方がいいだろう。
設立趣意書発表
5月31日に議連の設立趣意書が発表されたので転載する。
安全保障から考える未確認異常現象解明議員連盟設立趣意書かつてUFOと呼ばれていた未確認飛行物体ですが、現在ではUAP(unidentified anomalous phenomena:未確認異常現象)と呼称を変え、米国などでは国家の安全保障に影響を及ぼす可能性があると認識されています。米国では、UAPに関する公聴会が開催され、国防総省内に専門機関(AARO:全領域異常解決局)が設置されるなど、政府レベルでの取り組みが進んでいます。また、調査・分析の対象範囲を空中だけに限定せず、水中を含む全ての領域にまで拡大しています。AAROが2023年に発表した資料によれば、日本上空でもUAPの目撃報告が多数寄せられています。もしUAPが他国の最新鋭の秘密兵器や、米国で撃墜された無人偵察機のようなものであれば、我が国の安全保障にとって大きな脅威となり得ます。実際、我が国でも東北上空で中国の偵察気球と推定される飛行物体が確認されたことは、記憶に新しいと思います。また米国での目撃例のなかには識別不能の物体が数%存在していたとの報告もあります。このような脅威に対応するには専門的に情報収集・分析する機関が必要不可欠です。また同盟国である米国との協力も欠かせません。AAROが情報を公開した際に、当時の官房長官は、「空中における識別不能の物体を含む我が国の安全に関わる事象については、米国と常に連携し、情報を共有し、分析を行っている」と発言されましたが、現在のところ、我が国には米国のAAROに相当する機関は存在していません。そのため、私たちは、我が国のUAPに関する情報収集・分析・識別能力の向上と、米国との連携をさらに深化させるため、UAPに関する専門機関の設置を国に求める議員連盟を設立することといたしました。この趣旨をご理解いただき、当議員連盟へのご参加をお願い申し上げます。
名称は仮称として発表されたまま行くようだ。略称はUFO議連にするつもりなのか、浅川議員がハッシュタグで使っている。
ニュースで報じられたため、ネットではすでにエイリアン・クラフトを研究するための議連という認識で話題になっている向きがある。そういった誤解を避けるために、「解明対象となるUFO/UAPは宇宙人の乗り物という想定はしていない」ということを明言すべきと思うが、残念ながらそうした内容は入っていない。
まさか我々の税金が無駄にオカルトに使われることのないよう願いたい。
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