1947年6月24日/アメリカ/ワシントン州ベイカー山〜レイニア山〜アダムズ山
Mt.Baker ~ Mt.Rainier ~ Mt.Adams, Washington, USA概要
アーノルドと彼が見た空飛ぶ円盤のイラスト WHALE OIL BEEF HOOKEDより |
詳細
空飛ぶ円盤登場!
6月24日午後2時、アイダホ州の消防機器会社グレート・ウェスタン・ファイヤーコントロール・サプライ(Great Western Fire Control Supply Co.)の社長ケネス・アーノルド(Kenneth Arnold/32)は、ワシントン州チェハリス(Chehalis)から同州ヤキマ(Yakima)に向け、自家用機で飛び立った。晴れて視界の良い日であった。ケネス・アーノルド IDAHO STATE JOURNALより |
午後2時59分頃、ミネラルの町近郊の上空2,800mにさしかかったアーノルドが機体を180度旋回させたとたん、「まばゆいばかりの閃光が私の飛行機の表面を照らし出し」、自機の左方、はるか北にあるベイカー山方面から飛んでくる、鎖のように一直線につながったとても明るい9機の飛行編隊を目にした。
最初ジェット機かと思ったが、尾部は見当たらず、ジェットエンジンの音なども聞こえなかった。
事件当時のアーノルドによる円盤のスケッチ ここでは三日月型ではないことに注意したい プロジェクト・ブルーブックより |
飛行物体がアダムズ山の最南部の峰を飛び越えるのを見届けると、目撃報告をするためユマに向かった。
「空飛ぶ円盤」という言葉が誕生
アーノルドの体験はすぐに全米に広がった。記者会見の際に「水面をはねるコーヒー皿のような飛び方をしていた」と語ったのが「コーヒー皿のような物体だった」と誤って伝えられ、「空飛ぶ円盤(フライング・ソーサー)」という言葉ができた。
UFO記念日
目撃日の6月24日は世界的に「UFO記念日」と呼ばれており、それなりに有名である。UFO好きの間ではイベント等も開かれているらしい。アーノルドとUFOの飛行ルート
証言をもとにマーキングしたものですが、正確ではないかもしれません。
考察
今もって真相は謎だが、アーノルドが物体までの距離を誤って計測した疑いもあり、物体の実際の飛行速度はそれほど速くなかったとも思われる。たしかに、形状もはっきりしない光点に近い飛行物体の距離や速度を、操縦のかたわら正確に計測するのは至難の業であろう。
ジェット機の音もしなかったというが、自分の飛行機のプロペラ音がかなりの大きさで聞こえている中、遠くを飛ぶジェット機の音を確認するには無理があるように思う。
ペリカンの編隊だったのではないかという説もある。
プロジェクト・ブルーブックの結論
まさにこの事件をきっかけに組織された空軍のUFO調査研究部門 プロジェクト・ブルーブック(厳密にはプロジェクト・サインと呼ばれていた時期)では、この事件を幻覚と結論した。また同時にアーノルドが雑誌Fateにこの話を売って利益を得たことに注目し、金儲け目当てであることも疑っている。
人類初のUFO事件でもないし、今となってはかなり地味な事件ではあるが、当時かなり騒がれたのはマスコミが大きく取り上げたせいだろう。実業家の証言、(正確だったかどうかは別にして)具体的な推定速度が計測されたのも大きいと思う。
日本での報道
アメリカでセンセーションに報じられた本件だが、日本での報道はどうだったか。太平洋戦争敗戦後2年足らずのまだ混乱していた時期である。
当時の新聞を少しずつ調べているので、こちらにまとめてある。
参考資料
- 世界UFO大百科復刻版(ムー特別編集)/学研
- 政府ファイルUFO全事件/ピーター・ブルックスミス(大倉順二訳)/並木書房
- トンデモUFO入門/山本弘、皆神龍太郎、志水一夫/洋泉社
- トンデモ超常現象99の謎/と学会・山本弘、皆神龍太郎、志水一夫/宝島社
- プロジェクト・ブルーブック
0 件のコメント:
コメントを投稿