Corona NewMexico USA
概要
UFOの残骸を見せるマーセル少佐 |
史上最も有名なミステリー。
詳細
当時の新聞報道等による事件のあらまし
6月14日
マック・ブレーゼル |
7月2日(水)
午後9時50分頃、ロズウェルに住むダン・ウィルモット(Dan Wilmot)夫妻が、サウス・ペン(サウス・ペンシルバニア通りと思われる)105番地の自宅で輝く大きな空飛ぶ円盤を目撃。南東の空から北西の方角へ、高度480mほどの高さを時速640〜800kmで飛んでいたと推測。形は楕円形で、2枚の皿か旧式の洗面器を合わせたかのように見えた。7月4日(金)
ブレーゼル、妻、ヴァーノン、14歳の娘ベシー(Bessie)とともに残骸を集める。残骸はスズ箔や紙、テープ、スティックなどで、集めると長さ1m、厚さ18〜20cmほどの束になった。全体の重さ約2.2kgほど。組み立てにはかなりの量のスコッチテープと、花柄がプリントされたテープがいくらか使われていた。
電話もラジオも持っていなかったブレーゼルは、コロナに行ったことで初めてケネス・アーノルド事件以降の円盤騒動を知り、自分の見た残骸との関係を考えた。
7月7日(月)
ジェシー・マーセル少佐 |
ジェシー・マーセル少佐 |
ブレーゼルがマーセル少佐と陸軍防諜隊のシェリダン・キャヴィットを連れて牧場に戻り、ブレーゼルが集めた残骸を持ち帰る。
その後、軍の部隊がやってきて人を締め出すと、残りの残骸を全て回収していった。残骸はロズウェル陸軍飛行場で調査された。
7月8日(火)
残骸を見せるマーセル少佐 |
一方、残骸は午後までにテキサス州フォートワースの第8航空軍司令部に空輸され、正体解明のためにアーヴィング・ニュートン准尉が司令官のロジャー・レイミー准将の執務室に呼ばれる。准尉は即座に気象観測用気球とレーウィン・レーダー反射板の残骸であることを識別された。
ロズウェルの夕刊紙デイリー・レコードが、大見出しで「RAAF(ロズウェル陸軍飛行場)が空飛ぶ円盤を捕獲」と報じた。
レイミー准将は数時間後にラジオに出演し、「陸軍が知るかぎり、そうした装置は存在しない」と円盤との関連を否定した。軍は「円盤回収は誤報であり、正体は気象観測用の気球であった」という訂正文を発表した。
7月9日(水)
ロズウェル・デイリー・レコード紙 |
マック・ブレーゼルのインタビュー記事がレコード紙に載る。残骸の発見状況などの最後に「私の見つけたものは絶対気象観測用気球なんかじゃありません。でも私が爆弾以外の何かを発見したら、それについて彼らが私に何か言わせるのは大変でしょう。」と語る。
マック・ブレーゼルの当時の家族構成は、マック(48)、妻、ベシー(14)、ヴァーノン(8)の他に、回収に同行していない息子ビル・ブレーゼルJr.(Bill Brazel Jr./20)がいる。
ビル・ムーアらによる調査結果
その後長いこと人々の記憶に上ることはなかったが、1980年代に入り、UFO研究家ウィリアム(ビル)・ムーアらがこの事件を調査した結果、以下のようなことがわかったという。7月2日
夜、牧場の主ウィリアム “マック” ブレーゼルが雷鳴に混じって爆発音を聞く。7月3日
翌朝放牧地に行ってみると、1kmにわたって見たこともない硬い物質が散らばっているのを発見し、そのいくつかを自宅に持ち帰った。その物質は切ることも曲げることもできず、叩いても傷一つつかなかったという。バーニー・バーネット |
7月7日
ブレーゼルは郡保安官事務所にUFOの残骸を発見したことを届ける。軍はただちに散乱した物質を回収した。推察されるに、UFOはブレーゼルの牧場上空で爆発を起こし、200km程度飛んだが、ついにサンアグスティン平原に墜落したのではないか。
UFOの回収を秘密裏におこなうため、注意をそらす意味でブレーゼル牧場の落下物に関しての発表をおこなった。
回収されたUFOと宇宙人の死体はオハイオ州のライトパターソン基地に運ばれ、基地で働く者によってUFOや宇宙人の死体などが何度か目撃されている。
宇宙人の遺体を見たと語るグレン・デニス |
商業化された事件
ロズウェルの地は、現在ではこの事件を売り物にした観光地にもなっている。UFO博物館が建てられ、年に一度UFOフェスティバルが開催されている。
現場周辺地図
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資料にあったコロナ南東48km、ロズウェル北西120kmというのは、コロナ〜ロズウェル間が130km程しかないので、大きく行き過ぎてしまう。仮にコロナ寄りの中間地点としてマーキングした。
考察
米軍による情報隠蔽、米政府と宇宙人の間で結ばれた秘密協定などの俗説と絡められ、“宇宙版ウォーターゲート事件”として語られることが多い事件ではあるが、真相はやはり気球の落下であるという説が有力だ。当初の米軍の発表も誤り、もしくは軍事実験用の気球の存在を隠すための偽りの発表であった可能性が高い。その誤った発表に導いた本人が、ジェシー・マーセル少佐だった可能性が高いという。
マーセル少佐は当初より自分が回収したものがUFOであることにしたがっていたようで——おそらくは数日前のケネス・アーノルド事件に触発されたのであろう——その思いはムーアらが再調査するまでの約30年間にさらに強くなっていたようである。
事件当時の新聞では残骸は6月14日の段階ですでに発見されていたのだが、ムーアらの調査では7月3日になっている事に注目したい。どうやら、ウィルモット夫妻が見たUFOが墜落したそれであり、ブレーゼルは当時、発見日を偽証させられたと示唆しているのだという。
ムーアらの調査は、ムーア自身、信用が疑わしい人物であることから、売名のためのでっち上げがかなり含まれているのではないかと言われている。
宇宙人の死体を回収などという話は、あくまでも30年以上後のムーアによる再評価によって初めて語られるようになったことで、当時はそのような話が一切なかった。
そもそもムーアがこの事件を蒸し返すまでは、人々の記憶から忘れ去られていた事件だったのだ。
落下した気球というのは、ソ連の核開発を監視するための極秘プロジェクト・モーガルの気球のことで、UFOの残骸であると発表された写真はそれのレーダー反射板の銀紙や竹ひごの残骸である可能性が高い。
実際、UFOの機体や宇宙人を見たという証言は1947年当時はまったくなかった。
通常ロズウェルで起こった事件と言われているが、土地を管轄している軍隊の基地がロズウェルだっただけで、実際に何かが墜落したというのはロズウェルから北西に100km以上も離れたコロナという町に近い。本稿もそれに沿った。
参考資料
- 並木書房・政府ファイルUFO全事件(ピーター・ブルックスミス(大倉順二訳))
- 洋泉社・トンデモUFO入門(山本弘、皆神龍太郎、志水一夫)
- Myth of Roswell Incident(ASIOS蒲田氏による詳細なサイト)
- A Different Perspective(マーセル画像)
- Ripsonar(ブレーゼル画像)
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