Maysville ~ Franklin, Kentucky, USA
概要
命を落としたマンテル大尉 |
初めてUFOによって被害者が出て、社会を戦慄させた事件。
詳細
マンテル大尉、交信を絶つ
午後1時、ゴッドマン空軍基地の管制塔に、基地の北180kmのメイスビルで数人の一般人が奇妙な飛行物体を見たので、その正体を確認して欲しいという連絡が入った。物体は白く、形は目撃者によって「逆さまにしたアイスクリームコーン型」だったり「笠型」だったりした。西に向かって高速に飛び去ったという。
当日の空は晴れていたが、かなり霞がかかっていた。
乗っていたF-51ムスタング戦闘機の残骸 |
1時45分、管制塔の双眼鏡がそれらしき物体を発見した。
2時45分、付近を飛行中のトーマス・F・マンテル大尉(25)に確認の指令が出された。
3時5分、マンテル大尉より「物体は金属製で、途方もない大きさである」と連絡が入る。
この日の飛行では酸素供給の用意がなかったため、一緒に追跡していた2機は追跡を断念したが、マンテル大尉だけはそのまま追跡を続けた。
マンテル大尉機は物体を追って上昇を続け、そのまま交信を断った。
当時海軍が秘かに飛ばしていたスカイフック気球。そうとう大きな気球である。 |
遺体は操縦席にあり、風防は閉じたままロックされ、腕時計は3時18分で止まっていた。これが地面に激突した時刻だと思われる。
UFOとマンテル大尉機の進路
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マンテル機はそのかなり南にあるフランクリンの近郊に墜落した。
事故の調査結果
墜落事故調査官は、マンテル大尉が酸素マスクがないまま9,000mにまで上昇してしまったため、途中で酸欠で意識を失い、墜落してしまった可能性が高いという見解を発表した。機体は錐揉み状態での急降下の折り、地面激突前にバラバラに分解してしまったのだ。空軍のUFO調査チーム「プロジェクト・サイン」は、顧問である天文学者J・アレン・ハイネック博士の助言に従い、UFOの正体は金星の見誤りであると発表した。が、金星を見誤ったというのはかなり苦しい説であり(事件が起こった時間は昼間なので、望遠鏡でも使わない限り金星を見ることはできない)、1年後にはそれを撤回した。
1956年、空軍のUFO調査機関「プロジェクト・ブルーブック」は、マンテル大尉が追跡したのは、事件当年海軍が極秘実験のために飛ばしていたスカイフック気球ではないかという説を出した。事実、この日アメリカ海軍はこの地域上空で密かにスカイフック気球を飛ばせていたことが判明したのだった。
スカイフック気球は高度30,000mにも上昇し、全高180m、最大直径30mにもなる巨大気球で、形も目撃者達の言う形そっくりになるのだ。
現在ではこの説が一番有力視されている。
最初の報道時には「UFOから殺人光線が発射されるのが目撃された」、「マンテルの遺体は飛行機から消えていた」、「マンテルの遺体は銃弾で蜂の巣にされていた」、「マンテルの遺体は高熱にさらされて、まるでバーベキュー状態だった」などの噂がたち、UFOから攻撃されたという噂を盛り上げるのに一役買ってしまった。
その後、ブルーブックが調査結果を出した同じ1956年にも、マンテル大尉が交信を断つ直前、興奮した声で「いったいどういうわけだ! 中に人間がいる、何人もだ!」と言っていたのを耳にしたという話が出たが、こちらも信憑性に乏しそうである。
参考資料
- 学研・世界UFO大百科復刻版(ムー特別編集)
- 並木書房・政府ファイルUFO全事件(ピーター・ブルックスミス(大倉順二訳))
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