1971年に月面に着陸したアメリカのアポロ14号が持ち帰った月の石が、実は地球に由来した石だった可能性があることが、NASA(アメリカ航空宇宙局)などの研究でわかった。
研究は学術誌「Earth and Planetary Science Letters」(電子版)に掲載されたもの。
持ち帰った石はこれまで、月の地殻で作られて隕石の衝突などで地表に出たものと考えられてきた。しかし地球では一般的な花崗岩に似ており、地球最古の石と同じ40億年前に作られたと推定されている。
地球なら深さ約19kmの環境で作られるが、月の場合約170kmもの深くでないと作れないという。
月で特殊な条件下で作られた可能性もあるが、地球で作られた岩石が隕石となって月にたどり着いたと考える方が自然だという。
なお月面にある石のうち最大0.5%は地球で形成され、金星や火星由来のものもあると考えられている。
大槻教授、吠える
このニュースに対し、おなじみの早稲田大学の大槻義彦名誉教授がブログで「それ見たことか!」と書いている。大槻教授は過去、オカルト関係のテレビ番組で「月の石はアメリカ南部の砂漠の石なんじゃないかという感じがしてしょうがない」と語っていた。また唯一の物的証拠である月の石がこの有様では、アポロ計画全体も怪しいと考えられると疑っていたようだ。(検証 陰謀論はどこまで真実か/ASIOS/文芸社)
筆者が見た年末の超常バトルでは、「月の石なら存在するはずの宇宙放射線がつけた傷がないから怪しい」などという発言も覚えている。
ビートたけしの超常現象㊙︎Xファイルでの発言(特に1:55くらいから)
少なくとも月面着陸を肯定はしていない
前述のとおり、他の惑星由来の隕石というのは結構あるようで、地球でも火星由来、月由来と考えられる隕石が採取されている。つまり火星や月に小天体が衝突して弾き飛ばされた岩石が地球に届いたということだ。→国立極地研究所少なくとも月面着陸を肯定はしていない
月面の石の0.5%が地球由来と考えられているというのは、正確ならばなかなか高い割合だ。
大槻教授の勘違い
大槻教授はさっそくブログを更新したが、論文や新聞記事に書かれているのがアポロ14号の石についてなのに、人類が初めて月面に降り立ったアームストロング船長のアポロ11号のことだと勘違いしている。『地球、惑星科学 レターズ』という論文誌はNASAの研究者の論文を掲載し、アポロのアームストロング船長の持ち帰った『月の石』は地球の石であった、と断言した。(朝日新聞1月31日電子版)具体的には上記のように新聞記事を引用しているのだが、筆者(雅)が確認した朝日新聞DIGITAL1月31日10時10分版にはまったく同じ文章は見つからないし、アームストロング船長の名前もなければ、論文誌の名前も「アース・アンド・プラネタリーサイエンス・レターズ」と英語のカタカナ表記だ。もしかして朝日新聞の電子版とDIGITALって記事が違うんだろうか?
※なお、アポロ14号の船長はアラン・シェパードだ。その後UFOなどについての陰謀論者になったエドガー・ミッチェルも同船し、月面に降り立っている。→Wikipedia
アポロ月面着陸は今年ようやく50年目
「私が50年以上も前から言って来たことではないか!」とも言っているが、アポロ11号でも今年の7月にようやく50年目であり(1969年7月24日月面着陸)、アポロ14号に至っては48年目だ(1971年2月5日月面着陸)。学者だったらもうちょっと数字とかに気をつけて発言すべきだと思う。特に、何かを批判するような内容なのだから。また「地球の石であった」という表現も誤解を招く。あくまでも元は地球の石(の可能性が高い)というだけで、何万年もの間月にあったことは間違いない。
そもそも、採取した月の石が地球由来のものだったというのは科学的に大いなる発見だ。高い確率で地球由来の石が採取できるくらい、大昔の地球には大きな隕石が衝突して、飛び出した石が月に到達していたことの証拠になるからだ。
大槻教授にしてみれば、科学者仲間から「絶交だ!」と言われた悔しさがあるんだろうが、当時から誤解を招くような発言をしてたんじゃないだろうか? まあいいです。
——今後、大槻教授の言説を否定するためなどではなく、本当に地球由来の石なのか、どれほど地球の石が月に来ているのかなど、科学的な関心の目を持って本件を見守りたい。
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