2015年11月2日月曜日

1870年ワシントン山、世界最古のUFO写真の真相

1870年/アメリカ/ニューハンプシャー州ワシントン山

概要


ケネス・アーノルド事件が起きるはるか昔、1870年に撮影された、世界で最古のUFO写真と呼ばれるもの。
雪山もしくは雲を背景に、葉巻型の飛行物体が飛んでいる様子が映っているのだという。
拡大するとナチスドイツのハーケンクロイツ(鉤十字)のマークが見られるため、ナチスが作っていたUFOとの関連を指摘する人もいる。

詳細

筆者(雅)はこれまでトリミングされたイメージしか見たことがなかった。
1870年といえば日本では明治3年である。まだまだ写真機の出来も悪く、記録媒体の感度も低かったろう。
巻き上げ式のフィルムなどもなく、感光剤を塗られた大きなガラス板を入れ替えることになるから、飛行している物体を連続撮影などということは難しかったろう。
背景も雲にしてはまるでケーキのホイップクリームみたいな不自然な様子から、絵ではないかとも疑っていた。

オリジナル写真発見

オリジナル写真
ツイッターでゲッター・ショーンさんから教えていただいたところによると、オリジナル写真は左右に並べられたステレオ写真だった。
「Summit of Mt. Washington, Winter 1870 - 1871」(ワシントン山の頂上、冬1870〜1871)と書かれている。
より高解像度の写真は、参考資料に挙げた検証サイト、Wikimediaなどで見ることができる。
カードの裏面
カードの裏面にはナンバーが書かれており、これがどうやら冬にワシントン山の様子をステレオ写真で写した27枚の組み物のカードのうちの一枚であることがわかる。
問題の写真は17番の「FROST ARCHITECTURE」(氷の構造物)である。
リンク先で他の写真も見て欲しいが、このことからUFO写真と呼ばれていたものも、明らかに遠くの山でなく、近くの氷と雪の塊を写したものだ。
そして葉巻型UFOに見えるものも、氷と雪の間から突き出た木の枝か何かであろう。

こんなものが鉤十字に見えますか?
ナチスのハーケンクロイツの説に至っては、オリジナル写真を拡大しても何も見えないのだから、写真のゴミや傷がたまたまそれっぽく見えただけのこじつけだ。
だいたいにおいて、ナチス党(国家社会主義ドイツ労働者党)の前身のドイツ労働者党の結成が1919年、鉤十字をシンボルに採用したのが1920年ということなので、関係あるわけない。
子供だましもいい加減にしてもらいたい。

ワシントン山の氷の構造物

ワシントン山は観測史上最大の強風を記録した場所で、冬になるとあらゆるものが氷漬けになってしまうのだという。
Mt. Washington frostなどでググってみてもいろいろな写真が出てくる。

参考資料

2 件のコメント:

  1. お疲れ様でした。氷の写真ばかり見ていたので温かいものでも食べて一休みしましょう

    返信削除
    返信
    1. >ゲッター・ショーンさん
      未整理写真として手つかずのままでしたが、おかげさまでちゃんとまとめることができました。ありがとうございます。٩( ‘ω’ )و

      削除

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。