2015年12月13日日曜日

日航機アラスカ事件

1986年11月17日/アメリカ/アラスカ州上空
Alaska, USA

概要

寺内機長のUFOスケッチ
The Black Vaultより
日航機貨物便がアラスカ上空で巨大UFOに遭遇!
アンカレッジ付近まで追尾される。

詳細

当時の資料入手により、全体的に書き直し中

謎の光体に追跡される

寺内機長(当時47歳)
日本航空の1628特別貨物便、ボーイング747型ジャンボジェット機は、ボジョレー・ヌーボーを満載し、東京に向けてその日の午前にパリを飛び立った。
乗員は以下の3名。
  • 寺内謙寿 機長(47)
  • 為藤隆憲 副操縦士(39)
  • 佃喜雄 航空機関士(33)
アイスランドのケフラヴィク空港で給油後、次の経由地であるアラスカのアンカレッジ空港に向かっていた。
寺内機長は航空自衛隊の戦闘機パイロットを経て日航に入った、総飛行時間10,329時間のベテランだ。

UFOとの遭遇

アラスカ時間17日午後5時10分(日本時間18日午前11時10分)
(航路の関係で、夜が明け始めたまだ暗い頃だという(注:シミュレーションだと1時間ほど前に日没した後。再確認要))
  • 場所
    • アンカレッジの北東770km
    • 北緯67度56分
    • 西経141度0分
  • 高度 10,600m
  • 飛行速度 時速910km
アンカレッジへの直行態勢を取った直後、突然左30度前方4〜5km、下方600mに航空機の灯火のようなものが2つ並んで見え、同期とほぼ同じ速度で同一方向に進み始めた。アンカレッジの管制塔に問い合わせたが、レーダーには何も映っていないという返事だった。

2つの光体は“子熊がじゃれあうように”動きながら飛んでいた。その間7〜8分。
「これが世に言うUFOか!」と思った機長は、オートフォーカスのカメラで撮影を試みる。しかし暗すぎてフォーカスが合わず、マニュアルにしても今度はシャッターが閉まってくれなかった。

やむなく観察を続けていると、2つの光体は突然上方150〜300mに瞬間的に移動して停止した。つまりこちらにすごいスピードで飛んできて急停止し、すぐに日航機と同じスピードで同じ方向に飛び始めたことになる。この3〜7秒間(朝日新聞だと数分間とある。要確認)、逆噴射のように物体の光が猛烈に明るくなり、操縦室内部が真昼のように明るく熱く照らし出された。
飛行物体はDC8機の胴体(約48m)と同じくらいの大きさで、正方形に見えた。灯りだと思っていたものは左右の3分の1ぐらいのところにある無数の排気口の丸いノズルで、そのノズルが方向転換をすると光を放ちながらきれいにそろって上下左右にパッパッと動き、光が強まった時は炭が爆ぜるような火花が飛び散った。
寺内機長のUFOスケッチ
The Black Vaultより
3〜5分後、二つの物体は左前方40度の方向に移動して闇の中に一度消えたが、まもなく左前方に別の青い光を発見した。管制塔のレーダーにはやはり何も映っていない。機に付いている気象レーダーで見てみると、進行方向7〜8マイル(約12.6〜14.4km)のところに緑色の巨大な物体が捉えられた。
気象レーダーでは、金属の物体は赤く、雲などは緑に映るのだが、その日のアラスカ上空に雲は一つもなかった。

姿を現した巨大UFO

機がアラスカ中央部のフェアバンクス市上空にさしかかると、市街地の灯りに照らされた、物体の巨大なシルエットが浮かび上がった。
それは航空母艦を重ねあわせたような物体で、二つの光体は一つの巨大な物体の一部だった。機体の大きさはジャンボ機の全長(約70m)の数十倍はあった。
驚いた機長は再び管制塔に連絡した。管制塔からの指示どおり360度旋回し、高度も1,200m下げたが、物体は7〜8マイルの距離をおいてピタリとついてくる。

管制塔が確認のためF-14戦闘機を出そうと言ったが、「高度な技術を持った相手に対し、何か変なことをされたのでは申し訳ない」という機長の判断により、要請を断った。
アンカレッジ空港到着直前、物体は突然姿を消した。
同機の着陸は午後6時24分(日本時間18日午後0時24分)であった。

事件は12月30日に朝日新聞をはじめとした多くの新聞の朝刊に掲載された、マスコミの確認によると、日航機と管制とのやり取りの記録、アンカレッジ空港到着後に3人がアメリカ連邦航空局(FAA)から受けた事情聴取の記録も残っていた。

惑星の見誤りか?

最初の目撃時のアラスカ上空の星空(時刻は日本時間)
たしかに南南東の空低くに木星と火星が見えている。
ステラナビゲータ11でシミュレーション
アメリカの航空専門誌エビエーション・ウィーク・アンド・スペース・テクノロジー(Aviation Week & Space Technology)の編集者で、強硬なUFO否定論者として知られるフィリップ・J・クラスは、最初に見えた2つの光体は木星と火星と見誤ったものではないかと指摘した。
木星は当日、パイロットが飛行物体を目撃したのと同じ位置にあって明るく見えたはずで、初めに見えた光る2個の光体も、木星の右下に見えた火星を見誤ったのではないかという。

佃航空機関士は12月29日の取材に対し、「アンカレッジに着陸するためのデータ計算をしていたところ、寺内機長が『前の方を見ろ』と言った。だいだい色と青っぽい色の二つの光が上下にゆらゆらと揺れるように見えた。」と語った。

機長はマスコミ数社の取材に応じた後、地上の仕事に回されてしまった。おそらく、利用客を不安にさせる発言をしたこと、そして謎の物体を見たという精神状態を懸念されたのであろう。数年後には復帰したものの、機長の口は重くなってしまった。
20年後の週刊新潮の取材に、すでに定年退職した寺内元機長は、「もう関わりたくないというのが本音だ」と語った。医者にも幻覚だったと言われたが、寺内氏は「見えたものを見たとおり説明しただけだ」という。

新聞報道

一般の大新聞もこぞって取り上げていた。初めて報道されたのはひと月以上たった年末だった。
1986年12月30日朝日新聞朝刊 社会面
これ以降の新聞記事は「日航機アラスカ事件の新聞報道」にまとめた。

現場付近地図

より大きな地図でUFO事件マップを表示

考察

UFOや宇宙人を見てしまったため、社会的信用を失墜してしまった例である。アダムスキーのようなあからさまな嘘であれば自己責任だが、実際に不思議な物を見てしまったのであれば(錯覚や幻覚を含め)、それは当人の中では覆しようのない事実であるから、それを責めることはできない。
一緒に目撃した副操縦士、機関士の証言は知らないのだが、3人とも見たのであれば幻覚の可能性は低くなる。
うまく写真が写せなかったというのが残念だ。
UFOの近くでは機械が故障するというEM効果だったのか、単に露出不足でオートフォーカスや自動露出機能が動かなかったためだろうか。

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ11」による再現では、当時の両惑星の明るさは以下の通り。
  • 木星 -2.6等級
  • 火星 -0.1等級
両惑星ともマイナス等級(値が小さいほど明るい)なので木星は非常に明るく、火星も十分に明るい。地上光の影響を受けにくい地域でさらに高空でもあり、都市部よりははっきり星が見えていたと思われる。だいだい色は火星、青っぽい色は木星と推察できる。
もし両惑星の見誤りではないとするなら、UFOとは別に両惑星が見えていなければおかしいことになる。UFOの全てが惑星の誤認だったかどうかはわからないが、少なくとも一部はそうであった可能性が考えられる。

錯視などによる誤認の可能性

錯視(目の錯覚)というものがある。たとえば動いていない図形が動いているように見えたりするものだ。あらかじめそう見える図だと知っているなら実際がそうじゃないと思うことができるだろうが、それでも目の前の図は動いて見えるものだ。

これと同様なことが起きる風景が何の説明もなく突然目の前に現れたら、どんな優秀なパイロットでも不思議なものと誤認する恐れがあるだろう。
本件が必ずそうであるとは言わないが、そうした可能性もあると思う。

また錯視とは違うのかもしれないが、メキシコ空軍の発表したUFO映像というのがあったが、これも遠くにある海底油田の掘削施設から上がった炎がそう見えたものだった。
近年も原発事故を起こした福島第一原発の夜間のライブカメラ映像に、原発上空を左右に飛行するいくつもの光体が映っていたとして騒がれた件がある。
これも昼の映像を見ると実は背後に見える海上の船灯りということがわかるのだ。(高い山から撮影しているので、水平線の位置が原発上空に見えるせい)
本件も、遠くの街明かりなどを誤認した可能性はないだろうか?

要再考察
気象レーダーの反応については今後あらためて考察を加える予定。もっとも、公平には管制塔のレーダーには映らなかったという事実も考慮するべきだが。

なお、あまり語られることはないが、機長はこの事件の他にもUFOを見たという報告をしている。あまり何度も目撃している人物はかえって信用し難い。ぜひ副操縦士らの証言を資料から探してみたいと思う。

参考資料

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