2015年10月27日火曜日

ジョー・シモントン事件(イーグルリバー事件)

1961年4月18日/アメリカ/ウィスコンシン州イーグルリバー
Eagleriver, Wisconsin, USA

概要

問題のパンケーキを手にしたシモントン
Mondo Popolazeより
農夫が宇宙人からパンケーキをもらった奇妙な事件。
妖精の伝承との関連も指摘される。

詳細

午前11時過ぎ、郊外の養鶏場で一人暮らしをしているジョー・シモントン(またはサイモントン/Joe Simonton/60)という農夫が、濡れた道路の上をでこぼこのタイヤで走るような音を聞いた。

見ると、農場の鳥小屋の前に金属でできた物体が降下し、地上すれすれで滞空した。
それは直径9m、高さ3.5mばかりのクロムメッキされたような、とてもきれいな人工の物体だった。
その物体は縁に排気管が付いた、2つのボウルを逆さにしたような形だった。

UFOの様子シモントンはUFOに近づき、扉を開いて肌の色が暗い3人のUFOの搭乗者達を観察した。
搭乗者達は身長1.5m、黒またはネイビーブルーのタートルネックの服と、ヘルメットを着けていた。
彼らはイタリア系の容姿で、25〜30歳くらいに見えた。
そのうちの1人が持ち手が2つ付いた金属製の水差しをシモントンに見せ、「水が欲しい」というように水差しを口につけるジェスチャーをした。
シモントンはそれに応じて家に戻ると、アルミニウムよりも少し重いその水差しに水を満たして戻って来た。
遭遇のイメージイラスト
シモントンは彼らの1人が物体の中でグリルを使ってクッキーまたはパンケーキを作っているのに気付いた。(ただしシモントンはそのグリルで火自体は見なかった)
物体の内部はつや消しの黒い鉄でできているようで、いくつかのダッシュボードがあった。
シモントンは発電機のようなノイズを聞いたという。
シモントンがそのクッキーらしきものを求めると、赤い線の入ったズボンを着けて料理をしていた宇宙人が、直径約7.5cmの4つのあたたかいクッキーを分けてくれた。
そしてもう1人がUFOの扉を閉めると、UFOは45度斜めに上がり、南に向かって高速で移動し、近くの松の木の先端を折った。しかしUFOの方の被害は何もなかった。
この間5分ばかりの出来事であった。

シモントンがそのクッキーのうちの1枚を食べると、ボール紙のような味がした。
15年近くもシモントンのことを知る保安官のシュローダー(Schroeder)は、「彼が真実を語っていると信じる」と言った。



ジョー・シモントン本人による説明

もう一人の目撃者

シモントンがUFOに遭遇したほぼ同時刻、シモントンの農場から1マイルほど離れたハイウェー70を走行中のサヴィーノ・ボーゴ(Savino Borgo)という保険屋が、ハイウェイと平行して斜めに上昇していく皿のような物体を見ていたという。

証拠のクッキーを調べる

アメリカ空軍はこの事件を調査し、保健省、教育と福祉の食品医薬品研究所でクッキーの1つを検査した。
結果:水素化された脂肪、でんぷん、そば殻、大豆の皮、小麦ふすま(小麦を挽いて粉にした後残る皮)
微生物と放射線は正常だった。
赤外線による化学的検査では、クッキーの材料は普通の地球の素材であることがわかった。

この謎のクッキーは、1つはシモントンによって食べられ、1つはUFO研究団体NICAPに、1つは空軍に、そして最後の1つはシモントンが持っている。
シモントンは近所の人達とマスコミによって嘲笑の目に曝されることとなったため、この事を公にしたことを悔やんだという。

現場周辺地図


より大きな地図で UFO事件マップ を表示
プロジェクト・ブルーブック収録の地図を基にポイントしたのでかなり正確な位置と思われる。
(資料協力:magonia00さん)

研究家達による検証

ヴァレによる民俗学的視点

フランスの著名なUFO研究家ジャック・ヴァレは、クッキーに塩分が含まれていないことに着目し(塩分が含まれていたという分析もある)、著書「Passport to Magonia」の中で、塩が使われない妖精の食べ物と対比させて言及した。UFO研究家の間ではその着眼点が高く評価されている。

それは「UFOや宇宙人、妖精などの目撃譚は地域文化的な影響を反映しており、昔であれば妖精を見た話になっていたものが、現代だから宇宙人とUFOに見えて(思って)しまったのではないか。そうした解釈からいけば、UFO(宇宙人)も妖精も同じではないのか?」というような論旨だ。
もろもろのUFOの事件が、ナットとボルトで作られた機械的なUFOで宇宙からやって来たという、物質的、現実的な話だけで終わらず、地域性、歴史的な文化の伝承(当然それには人の心というものが関わってくる)などに関係してくるものだという研究のようだ。

ハイネックによる現実的視点

対してUFO研究家のJ・アレン・ハイネック博士は、「目撃者は嘘はついていないが、朝食の準備をしている間の明晰夢だろう」と語った。

考察

濡れた道路の上をでこぼこのタイヤで走るような音がしたという証言をそのまま取れば、車がやって来たと考えるのが一番自然な解釈だろう。
おそらくはハイネック博士の推測どおり、明晰夢の類いを見たの可能性が高いのではないだろうか。
クッキーを自分で作ったのでなければ、見慣れないキャンピングカーのようなものを見て、中にいたイタリア系移民の人達(?)が作っていた出来損ないのクッキーをもらい、その後、見たものをUFOと宇宙人と思い込んでしまったのではないだろうか。

もう一人の目撃者の証言がどこまで信用できるのかにも、事件の信憑性はかなり左右されるであろう。
事件が起こったことを報道で知った後に、「そう言えばそんなようなものが見えたかもしれない」と思い込んで名乗り出たり、売名のためのウソということも考えられよう。
「よくよく調べてみたら、そんな証言をした人はいなかった」なんてことがあるのもUFO事件の特徴であるから注意したいものだ。

参考資料

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