公開された米海軍とUAP遭遇時の報告書 |
これは海軍安全センターの文書で、ウェブメディア「THE DRIVE」が情報自由法に基づいて入手し、報じたもの。
THE DRIVEのサイトに載っている報告書は8件34ページと追加1ページ。日付からわかるとおり、残念ながら昨今公開された3本の映像撮影時のものではなさそうだ。
正体は国防総省にも秘密にされた新兵器?
海軍はほとんどを無人航空システム(UAS / Unmanned Aircraft Systems)すなわちドローンであろうと判断している。ドローンと言っても空撮やショーで使われるようなものじゃなく、軍事用の高速、高性能なものを指すと思われる。2013年11月18日の事例では同じ海軍の艦艇の身元がわかっていなかったり、軍の中でも情報の秘匿レベルによって横のやりとりがされていないことがうかがえる。公開された映像を含め、軍内部の新型の高性能ドローンのテスト飛行だったことが疑わしくなる。もっとも、国防総省まで情報を把握できていなかったことになりそうだが(もしくは知っていてシラを切っている?)、極めて秘匿性の高い兵器の場合そういうこともあり得るんだろうか。
ただし新型兵器といっても「すわ、地球製UFOか!?」と先走ってはいけない。
報告書概要
以下に報告書の概要の拙訳を示すが、より詳しくはTHE DRIVEのページに書かれているので、サイト翻訳機能でも使って読んでほしい。原文中、Hazard flight(HF)やHazard pilot(HP)などはUAP(UFO)によって危険に晒された米軍機のフライトやそのパイロットらのようである。適当な略語を思いつかないので、仮に「被険機」という造語を用いることとする。
- 2013/6/27
- 被険機がW-72 TACTS南専用空域の南境界付近にて航空機の右側約200フィート脇を通過。航空機は上昇して南東に向かい、飛行機雲または煙の柱が後部から放出されていた。被険機から航空機に向けられたレーダーの戻りがなかった。航空機の機体は白色で、大きさと形はだいたいドローンまたはミサイルほどだった。レーダーテープを確認したが、この地域では航空機は確認されていない。飛行時間中の活動エリアでのドローンまたはミサイル操作に関するNOTAMS(訳注:航空関連施設、業務、方式、危険等に関わる情報)またはTFR(訳注:臨時飛行制限)は公開されていない。
- 2013/11/18
- 被険機がW-72 1A/Bに入った時、管制から「この空域には交通はない」と告げられた。高度12,000フィートをマッハ0.1で飛行中のレーダーの軌跡を検出した後、被険機は小型機を目視で確認できた。機体は翼幅が約5フィートで、色は白で他に識別できる特徴はなかった。小型機であることからUASであると判断された。被険機は約1時間にわたって危険無人機を追跡し、位置データを管理機関に中継した。危険無人機の位置付近を南下していたのは、静止した商業トロール船1隻と正体不明の米海軍艦艇1隻のみで、地表付近の交通は少なかった。飛行中、管制機関は危険無人機と相関のあるレーダーリターンやスコークを見たことはなかった。飛行後、管制機関は多数の地元のUASオペレーターに連絡を取ったが、危険無人機についての知識があると主張する者はいなかった。さらに、周辺の海軍艦艇の身元は未確定であった。
- 2013/12/18
- 訳注:THE DRIVEでは日付をこれも11月18日とし、2番機のパイロットの報告としているが、実際の報告書に書かれた日付(Hazard Date)がDecember 18, 2013となっていることから、UFO事件簿では別の日付で扱うこととする。
- 被険機パイロットW-72 1Aに入った際、管制から「この地域には交通がない」と告げられた。12.000フィートをマッハ0.1で飛行中のレーダートラックを検出。レーダートラックの位置に小さな白い視覚的なリターンを識別することができた。被険機はその未確認機の情報を現地の管制機関に伝えた。管制機関はレーダーリターンも未確認機と関連のあるスコークも見なかった。未確認機は視覚的特徴が類似しており、11月18日のWESSシリアルナンバー1386708970442に記載されている危険無人機と同じ高度、おおよその速度、位置で飛行していた。飛行後の分析では、未確認機の出所を特定することはできなかった。
- 2014/3/26
- 被険機は予定されていた空対空訓練のためにW-72(警戒区域)に進入し、Air-2AとAir-2Bを排他的使用の下で使用していた。被険機は4機の航空機によるイベントの一部であり、2機ごとに分かれた最初の交戦の後、被険機はAir-2Bの東側の部分にレーダーで見たような軌道を検出した。この軌道は高度19,000フィート、対気速度マッハ0.1を示していた。被険機パイロットは後方機にレーダー探知機を依頼したが、レーダー画面には何も映っていないことを確認した。当初は強風(18,000フィートで100ノット以上)のため、レーダートラックは偽のトラックファイルではないかと考えていた。被険機がトラックファイルを閉じると、ヘッドアップディスプレイのシンボロジーボックス(TDボックス)内に小さな金属製の物体があることに気付いた。未知の航空機は小型でスーツケースくらいの大きさで、銀色をしているように見えた。被険機は物体の1000フィート以内を通過したが、航空機の身元を特定することはできなかった。機体との視覚的な接触を試みたが、確認することができなかった。被険機は航空機の情報を地元のFleet Area Controlling and Surveillance Facility (FACSFAC)に伝えた。管制機関はレーダーのリターンも未確認機に関連するスコークも見なかった。
- 2014/4/23
- 専用機W-72 Air 2Aと2Bを運航していた被険機乗務員は、2Aの2つのレーダートラックファイルが管制機関や他の航空機と通信していないことに気付いた。レーダーは危険未確認航空装置1をマッハ0.0(訳注:原文ママ)、高度15,000フィート、危険未確認航空装置2はマッハ0.0(訳注:原文ママ)、高度12,000フィートの飛行を示した。被険機は、危険未確認航空装置1と危険未確認航空装置2が小型の赤外線重要物体であり、偽のレーダートラックファイルではないことを確認するため、複数のオンボードセンサーを使用した。危険未確認航空装置2をレーダーと前向き赤外線(FLIR)で追跡している間に、被険機と危険未確認航空装置2の間の約5海里の距離を高速で飛行している2つのレーダーによらない物体、危険未確認航空装置3と危険未確認航空装置4が赤外線ビューの視野を通過するのが確認された。
- 2014/4/24
- 被険機の隊員1と隊員2は、W-72 1C共同使用空域で戦闘機基本操縦(BFM)を行っていた。BFMエンゲージメントを完了した後、隊員1は1Cの安定したレーダートラックファイルが、地元の艦隊エリア管制監視施設や他の航空機と通信していないことに気付いた。隊員2は同じ接触者に対してレーダー状況認識を達成した。隊員1と隊員2はその後、BFMとの交戦を解除し、レーダーによる接触者の目視確認を試みた。レーダーはマッハ0.0(訳注:原文ママ)、高度11,000フィートで危険未確認航空装置を示した。隊員1は200フィート下の危険未確認航空装置にノーズオンで飛んだ。隊員2は隊員1の後を1海里で飛行した。隊員1と隊員2の両方とも、安定したCATM-9Xトラックと同様に安定したレーダートラックファイルを維持した。隊員1と隊員2のどちらも危険未確認航空装置を視覚的に取得することはできなかった。
- 2014/4/27
- F/A-18FがW-72空域で気球のような物体に接近。
- 事前の調整や通信なしに管制空域で運用されている無人航空装置は、海軍航空にとって深刻な脅威となっている。
- 2019/2/13
- 4機の航空機が戦術的な迎撃戦術を実行する日/VMCテストイベント中に、赤い気球がMSL27,000フィートで目視で発見された。問い合わせたところ、ジャイアントキラー(訳注:軍用航空交通管制(ATC)コールサイン)もエコー管制官も気球の活動を認識していなかった。さらにその地域の気球に関連するNOTAM(訳注:航空関連施設、業務、方式、危険等に関わる情報)はなかった。複数の他のレーダーの接触は、同様の高度と速度(0.10.2 IMN)で指摘された。複数の船が周辺で活動していた。
THE DRIVEが入手した詳細不明な別件の報告書 |
- 2018/3/13
- THE DRIVEが入手した別事件の報告書のコピー。通し番号がなく、どこに提出され、海軍でどのような公式行動がされたのか不明だという。
- ノースカロライナの海岸沖にあるW-122警告エリアのレーダーにある4つの別々の未知の物体。物体はすべて高度16,000〜22,000フィートでマッハ0.1程度で飛行していた。パイロットは20,000フィートの位置にある「クアッドコプタータイプのドローンで、幅3〜4フィートのように見えた」と視覚的に確認した。彼らは、物体は特に何もしていないようで、静止しているかほぼ静止していると付け加えた。彼らはまた、幅が約40から50マイルのエリアに広がっていた。最も近いのは、パイロットが下を見下ろしたと指摘した1隻のボートから15マイル離れている。
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