Nikoro-cho, Kitami-shi, Hokkaido, Japan
概要
Fさんを再三さらったという不気味な宇宙人 ムー・ブックス「宇宙人の謎」より |
詳細
最初のアブダクション
午前3時頃、仁頃(にころ)町の農夫のFさん(28)は、けたたましい犬の鳴き声に目を覚ます。戸を叩く音を聞いて外に出たところ、身長1mばかりの奇怪な宇宙人が立っていた。
宇宙人の背後の畑には、直径8m、高さ1.5mほどのオレンジ色に輝くUFOが浮かんでいた。
Fさんによる宇宙人のスケッチ MYSTERIOUS UNIVERSEより |
宇宙人の姿は以下のようなもの。
- 身長約1m
- 吊り上がった二つの目を持ち、光っている
- 吊り上がった鼻と耳
- はっきりしないが口のようなものも見られた
- イカのようにとがった頭頂部に円形のアンテナがあり、光やテレパシーを送る
- 粘り気のある黄色い肌をしており、青い無数の斑点がある
- 手足は2本ずつだが指はなく、タコかヒトデのように先がとがっており、電気を出したり、強力な風を起こす
おびえるFさんに対し、宇宙人が妙な動きをすると熱風が吹きつけてきた。Fさんは逃げ回るが、ほどなく熱風に包まれてUFOに吸い上げられてしまう。
宇宙人は手足を押さえつけようとしてきたが、必死の抵抗の甲斐あって、UFOから脱出することができた。
気がつくとそこは家から3.5kmも離れた村で、知人宅に逃げ込んだという。
※この時、知人宅でFさんの耳が熱くなり、指が震えだし、スプーン曲げの超能力を披露、宇宙人とテレパシーで交信できるようになったという資料もある。
二度目のアブダクション
二日後の8日午後7時、知人宅にいたFさんはテレパシーで宇宙人と会う場所を伝えられ(この際、急に耳が熱くなったという資料もあるので、一度目の時とごっちゃになってるようだ)、知人とともにその場所に向かう。
途中から一人で山の中に入り、再びUFOに遭遇。またUFOに吸い上げられてしまう。
今度は宇宙人は手荒な真似をすることはなく、友好的だった。
FさんはUFOに乗って月を1周、地球を2周した後に意識をなくしたまま雪の上に投げ出される。
この際に左の耳たぶに受信機、右の耳たぶに送信機を取り付けられたと宇宙人から聞き、それ以来テレパシーで宇宙人とやりとりができるようになったという。
※途中まで一緒に行動していた知人がどうなったのかは、今のところ資料からは不明。
三度目のアブダクション
これが木星もしくはタイタンの石だという 「ムー的未解決事件」より |
さらに五日後の13日夕方にも同様にUFOにさらわれ、今度は木星に連れて行かれる。Fさんは宇宙人とホースのようなもので結ばれたゴムのような服を着させられ、木星に降りたという。
宇宙人に証拠の品が欲しいとお願いしたところ、UFOの底部から手を伸ばして石を一つ取り、ドリルのようなもので3つに砕いたうちの一つをくれた。
宇宙人に証拠の品が欲しいとお願いしたところ、UFOの底部から手を伸ばして石を一つ取り、ドリルのようなもので3つに砕いたうちの一つをくれた。
「どうやら木星本体ではなく衛星のタイタンだったらしい」という話もあるようだが、タイタンは土星の衛星だ!
FさんによるUFO内部の様子 ムー・ブックス「宇宙人の謎」より |
Fさんが自動書記で書いた宇宙文字らしきもの ムー・ブックス「宇宙人の謎」より |
NHK取材班が倒れたFさんを発見?
UFOから降ろされて雪の上に気絶していたFさんをNHKの取材班(何の取材だったのかは不明)が発見し、その際の迫真の録音テープがあるという話もあり、資料によると3回目のアブダクション時だという。3回目の時の帰還方法が資料にないのだが、2回目同様雪上に放り出されたんだろうか?
宇宙旅行まで連れて行ってくれるのに、解放時だけ扱いがぞんざいな宇宙人だ。
その他の情報
- 宇宙人は2億5千万光年彼方にあるサモンコール銀河惑星連合の宇宙人
- サモンコール星までテレポートで6分
- 宇宙人の役目は「地震や噴火などの天変地異を遅らせたりすること。地球の内部は空洞になっており、UFOでマグマのそばに行き、岩を詰めたりして火山(原文ママ)を防ぐ」
- 宇宙人は活動のためのUFOを3機持ち、日高の山にバリヤーで隠してある
- 最初のアブダクション時、近所の中学生が窓の外に月より明るい光があるのに気づいて目を覚ましたが、怖くて確認しなかった。
- Fさんのスプーン曲げは何人かに目撃されている
- 2回目のアブダクション時、一人で山に入ったFさんを探した人達が、丘の上の断崖でFさんの足跡が消えているのを発見
- いつの事か資料でははっきりしないが、Fさんを探した人達が、Fさん発見前にUFOが上下左右に動くのを目撃し、テープ(映像か音声か不明)にも収められている
- 「木星の石」とやらをX線検査したところ、地球上の岩石の組成と変わらなかった
現場周辺地図
正確な場所はわかっていない。
考察
甲府事件、介良事件とともに日本3大UFO事件と扱われることもありるようで、子供向けUFO本でも時々目にした。しかし当時のオカルトブームに乗っかったいい加減にしてほしいくらいの荒唐無稽さもあり、まともな研究者の間ではインチキ(HOAX)認定されている。
タコかヒトデのような怪物型で、テレパシーを使い、手先から熱風や電気を出して人をさらうなど、古いSF映画に出てきそうな宇宙人だ。
姿はたとえば1956年に公開された日本映画「宇宙人東京に現る」のパイラ星人を彷彿とさせる。タコやイカっぽい感じも、当時まだ根強かったH・G・ウェルズの小説「宇宙戦争」に出てくる宇宙人のイメージを引きずっている感じだ。
映画「宇宙人東京に現る」のパイラ星人 デザインは芸術家の岡本太郎 Wikipediaより |
宇宙人はサモンコール銀河惑星連合で、木星もしくは衛星タイタンに着陸した? 木星はガス惑星なので着陸できるような陸地はない。また前述のようにタイタンは土星の衛星だ。この辺りに天文に無知ゆえのボロが出ている。
もちろん両方の星に行ったということもできるが、タイタンに言及するにあたって「土星」という名前が出てきていないなら奇妙だ。
地球空洞説を持ち出し、テレパシーとスプーン曲げができるようになったというのも、当時のオカルトブームそのままだ。宇宙人も、役に立たないスプーン曲げなんかじゃなく、せめて手から熱風を出す方の能力を授けてくれればいいのに(笑)
UFOの内部を詳しく図示するところなどは、当時の子供向け雑誌によく載っていたUFO内部や秘密基地の図解(当然雑誌編集部が想像したもの)の真似っぽい。
UFOに拉致されて戻ってくる点がトラヴィス・ウォルトン事件に触発されたものかと思ったら、ウォルトン事件の方が後(翌年)であった。もし海外でも報道されていたら、逆にウォルトン事件に影響を与えていたこともありえるだろうか?
未確認情報だが、Fさん今では新興宗教の教祖になっているという話が。そうでなくとも事件以来コンタクティとして活動していたようで、ネット検索すると、1993年頃までに帯広市で宇宙科学開発推進機構なる団体(?)を作って「地球人類救済の組織活動」をしていた模様。また、宇宙に旅に出たという噂も。
これらを総合すると、単にイタズラ目的の狂言というより、おそらくは強い思い込みから宗教的なものに目覚めてしまった人なのだろう。
参考資料
- UFO全百科/南山宏監修/小学館コロタン文庫
- 宇宙人の謎/並木伸一郎著/学研ムー・ブックス
- ムー的未解決事件/並木伸一郎著/学研
- オカルトひろば
- 合気道月光流道場長・チョコ助と伊東健治の公式ブログ 「骸(むくろ)をつけていま一戦(ひといくさ)せん!!」
- MYSTERIOUS UNIVERSE(英語サイト)
- 海外の妖しい Blog 記事から
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