2015年11月20日金曜日

甲府事件

1975年2月23日/日本/山梨県甲府市上町
Kamicho, Koufu-shi, Yamanashi-ken, Japan

概要

少年二人が見たUFOと宇宙人
小学2年生二人が不気味な宇宙人と遭遇! 肩をたたかれ、奇妙な言葉で話しかけられる。
折れた柱、土壌の放射能などの物証も多い、日本で最も有名な事件。

詳細

上空からUFOに追いかけられる

現場で説明をするY君(左)とK君
同市上町の小学2年生で、親戚どうしのK君とY君。Y君はその日家族でK君の家に来ており、二人で近くの雇用促進住宅上町宿舎の敷地でローラースケートをして遊んでいた。
時刻は6時30分頃。5時36分の日没後、薄明期の薄暗い時間帯だ。

甲府の18時の気象データ(気象庁より)

  • 気温 4.1℃
  • 雲量 2
  • 風速 3.3m/s
  • 風向 北北西
  • 最高気温 8.1℃(平年11.0℃)
  • 最低気温 -5.2℃(平年-0.1℃)
  • 日照時間 8.8時間
  • 平均風速 2.1m/s
  • 平均湿度 44%
  • 天気概況(18時〜翌日6時) 降水なし
K君が東の方にある達沢山上空に、オレンジ色に輝く二つの物体を発見し、Y君に知らせる。それは大小二つのUFOで、上空で大きく旋回すると、大きな方は方向を北にある愛宕山の方に飛び去り、小さな方はこちらに近づいて来て、頭上の低空で静止した。
上空のUFOと、底部から伸びた筒状のもの
「UFOと宇宙」より
するとUFOの底部から黒い筒のような物が地上に向かって伸び、「カチリ、カチリ」というカメラのシャッター音のような音がした。(ガチャンガチャンという音をたてて伸びたという資料もある)

二人が隠れた近所のお寺、福王寺
2008年5月4日筆者撮影
鉄砲のような武器で狙われていると思った二人は恐ろしくなり、K君の家に逃げ帰ろうとしたが、UFOが頭上をついてきたため、東側にある近くの福王寺の境内のお墓に隠れた。
しばらくするとそのUFOも、もう一機と同様に北の方向のブドウ畑の方に去っていった。

ぶどう畑に出現したUFOと宇宙人と接触!

ほっとした二人が北側にある家に帰る途中、道の60〜70mほど先にあるブドウ畑の中に炎のような光を目撃する。火事だと思った二人は、あぜ道を走って近づく。
光は明滅を繰り返していたが、二人が数十m手前に近づいた時、ブドウ畑の中央部に横滑りで移動し、急に青白い光になった。それは先ほどのUFOだった。(この横滑りに言及していない初期資料もあり)
現場に立つ7年後の少年達
恐怖心よりも好奇心が勝った二人は、UFOの1m程度まで近づき、周囲をぐるぐると観察した。
それは以下の様なものであった。
  • 直径2.5m(資料によっては5m)で乗用車程度
  • 高さ1.5m(同2m)
  • ドーム部分の下に皿を逆さにしたような本体のある円盤型
  • 底部に3個の球形の着陸ギア
  • ドームと本体の間に青く輝く半透明の四角い窓が機体を一周し、黒い枠が沢山はめ込まれている
  • 機体表面はステンレスのような銀色で、薄暗く輝いていたように見えた
  • 本体には見たこともない文字が5個横書きされていた。UFOの反対側にも別な文字が横書きされていた。
  • 最初はドーム部分が回転していたが、やがて停止した(この点に言及していない初期資料あり)

機体に描かれた謎の文字

数分間UFOを観察していた二人。機体正面には5つの文字のようなものがあった。こちらはK君の書いたものを見ると漢字っぽいデザイン。
反対側に回ったY君はまた別の文字を見る。こちらはY君が「Aを書いて、つながってBを書いてC…」と言うようにアルファベットっぽかったようで、ABCのようなものの後ははっきり覚えていないという。
UFOの逆側の文字のようなもの。Y君が目撃。
「UFOと宇宙」より

宇宙人登場

宇宙人の姿
K君が一人で観察していた時、突然ガチャガチャと鍵を開けるような音がした後に、文字の右横のドアがバタンと開き、手前に倒れて階段になった。そして不気味な姿の宇宙人が前かがみになって下りてきた。足音は聞こえなかった。
  • 宇宙人の姿身長120〜130cmくらい
  • 顔の色は茶色
  • 頭部に髪の毛は生えておらず、仮面をかぶっているように見えた
  • 顔一面に深い横ジワが走っていて、目は確認できない
  • 口のあたりに3本の銀色の牙が生えていた
  • 耳はウサギのように長く大きく尖っており、真ん中には穴があいていた
  • 手の指は4本で、茶色の手袋のようなものをしていたように見えた
  • 足の指は長靴のようで、足袋のように2本に分かれていた
  • 銀色に光る服を着ていて、腰にベルト
  • 先端がラッパのように開いた銃らしき物を肩からさげていた

Y君、宇宙人に肩を叩かれ、話しかけられる!

反対側で観察していたY君は、背後にいた宇宙人の左手によって左肩を二回叩かれる。
振り向くと不気味な姿の宇宙人が立っていて、テープレコーダーを早送りしたようなキュルキュル(キューキューとも)という声を出したため、腰を抜かしてその場にへたり込んでしまう。
並木伸一郎氏のUFO本(ムーSPECIAL 決定版超怪奇UFO現象FILE/2008年)では、宇宙人がキュルキュルした声でY君に対して「K君かな?」と話しかけたことになっている。 しかし事件当時の詳細な資料、本人の証言にも、日本語で話しかけた記述はない。後づけに加えられた誤情報だと思われる。 日本語で話しかけ、名前まで知っていたかどうかは非常に重要な点だ。余計な誤情報を付け加えるのはやめてほしい。
どうやらY君が肩を叩かれた際に「K君かな?」と思ったことを、間違えて宇宙人がしゃべったことにしてしまったようだ。並木さん本人が間違えるとは思えないので、ゴーストライターが資料を見て勘違いして書いたことが推測される。どちらにしてももっとちゃんとしてほしい。
身の危険を感じ、死んだふりをして薄目を開けて宇宙人を観察していると、宇宙人は早足に歩き回りながら辺り一帯を観察しているようだった。
それを見ていたK君が「逃げろ!」と言うが、Y君は動けず「逃げれん!」と言うのが精一杯。そのうちにK君が血相を変えてやってきて、腰が抜けたY君を背負ってブドウ畑を一目散に逃げ出した。

UFOの内部ともう一人の宇宙人

UFOの中にいたもう一人の宇宙人
「UFOと宇宙」より
ブドウ畑から少し離れた二人は、振り返って少しの間UFOの中を観察した。
UFOの内部にももう一人宇宙人がおり、イスに腰掛け、操縦桿のようなものを握り、顔の前にあるテレビのようなものを見ていた。姿は外にいる宇宙人と同じだが、身長が多少低かった。
宇宙人の背後にはメーターのたくさんついた機械類がびっしりとあった。また、窓越しには内部は見えなかった。

母親達を連れて戻ってくる

K君の家には、Y君の両親とY君の兄(9/小学3年生)も来ていた。そこに駆け込んできた少年達は「円盤だ、UFOだ」と騒ぎ立てる。「何言ってるの。もうご飯でしょ」とたしなめた母親だが、青ざめた少年達が「いいから早く来て。宇宙人みたいのがいる!」とあまりに言うものだから、半信半疑で一度行ってみることにした。

K君、Y君が母親達とY君の兄を連れてブドウ畑が見える道に出ると、たしかにブドウ畑の真ん中にオレンジ色に輝く物体があった。それはくるくる回りながら光っており、5〜10秒周期で明滅していた。(見かけ上ドッジボールくらいの大きさという資料もある)
Y君の母親が「見に行く」と言ったら、少年達が「連れて行かれちゃうから行くな!」と手を引っ張って必死に止めた。
少年の言うことが本当なので、K君の母親が自宅に知らせに行く。
5人はそのまま2〜3分ばかり観察した。
(その間に光は最後にとても強くなり、スーッと消えてしまった。光が強くなった際、Y君の兄が宇宙人が横に歩いて行くのを見た、という資料もある)

父親達も連れてくる

母親の一人が父親達を呼びに家に帰り、棒を持った父親達とともに戻って来た。その時は消えかかっていて光はほとんど見えなかったという。
(7年後のインタビューでK君の父親が「目もくらむようなオレンジ色の光が見えた。あれがライトということはない」と語っている。記憶違いでない限り、どの時点かははっきりしないものの父親達もUFOの光を見たようである)

棒を持った大人3人と子供達が現場に行ってみたが、UFOも宇宙人の姿も見えず、家に戻って
(この時点でブドウ畑の柱が折れているのを発見したという資料もある)

保険外交員の女性が、怪人目撃を7年後に告白

保険外交員のSさん
K君、Y君の一家がUFOと宇宙人を見失ったと思しき同時刻、保険外交員の女性Sさんは、次の集金先に向かって車で道を急いでいた。
事件のあった上町に向けて、増坪町の方から細い道を南下してきたところ、ドンドンという打上げ花火のような音を聞く。
狭い道の途中に立ちふさがる二人の「中学生かと思うような男の子」に気付いた。
身長130〜140cmくらい、土人の仮装でもしているのかと思うほど真っ黒に見えたその「子供」達は、クラクションを鳴らしてもどこうとしない。
しょうがないので最徐行をして避けて通ろうとすると、一人がフロントグラスに手を付け、顔を寄せてきた。Sさんはその異様な姿に驚く。
Sさんが遭遇した怪人
短時間の目撃だったため、細かな点は覚えがないという
  • 目の下はまっすぐで、幾重にもなってクシャクシャの上まぶた
  • 鼻は存在した
  • 真っ黒の手のひらもシワだらけだったが、手相のシワは見当たらない
  • 手首が亀のように黒くてこれもシワだらけ
  • 顔と手以外は観察する余裕がなかった
この間5〜6秒程度。
怪人達がどかないので一旦停車したが、ゆっくりとすれすれを通過した。
その際にもう一人の怪人を見たが、まったく同じ顔をしていた。

すぐ先の十字路を越えて日の出団地の東側の道を南下すると、道の先から棒を手にした子連れの男女の一団が走ってきて、Sさんの車は手を広げて止められた。子供達もガヤガヤと騒いでいる。
Sさんが窓を開けて「なんですか?」と訝しげに尋ねると、男性は「UFOを見ませんでしたか!?」と言う。
とっさに先ほどの怪人達とUFOを結び付けられず、「いいえ、知りません」と答えると、彼らは車とすれ違いに走って行ってしまった。集金を急ぐSさんも、そのまま集金先に向かった。

以上の証言は、事件から7年たった1982年頃に、初めてマスコミに明かされた内容である。
当時Sさんはその日の出来事を夫達に話したが、「そんなバカなことを言っても、バカにされるだけだ」と言って反対されたため、その時点ではそれ以上他人に話すことはなかった。
しかし約7年後、旅行先でこの話をしたところ、まわりの人達から「絶対に知らせた方がいい」と勧められ、手紙を送ることになったという。
手紙の送り先は正確には言及されていないが、資料とした日本テレビの深夜番組「11PM」であるようだ。矢追さんがSさんに取材したものが番組になっている。

怪人の描写などの細かい点については、告白するまでの7年間の間に記憶が変わってしまった可能性があることを考慮する必要があると思う。
また、彼女と遭遇したことはK君、Y君一家にもちゃんと確認されているんだろうか?
今まで彼女の証言をもって真実とされてしまっている感があるが、厳密を期する必要があるだろう。

注意:ASIOSの「UFO事件クロニクル」によれば、Sさんの一件は少年達と親子による一件の1時間近くも前だという。筆者はまだこの情報の出典に当たっていないが、本当であれば直接関係ないかもしれない。

複数の目撃者

以下も事件が公表されてから明らかになった目撃証言である。

甲府市環境センター(2008年5月4日撮影)
  • K君宅から500mほど東にある甲府市環境センター管理人のAさんが、同時刻に明滅する物体が飛ぶのを目撃
  • 同時刻頃、現場北にある国道20号線(甲府バイパス)を走行中の車から、小学校二年生の少年とその母親が、雇用促進住宅上町宿舎の方角の夜空に青白い発光体が行ったり来たりしているのを目撃
  • 同じく夜7時頃、下今井町・常光寺住職が、寺の南の空にジグザグ飛行をして急降下して消え去ったピンポン玉くらいの青白い光を目撃

トラウマになった少年達

この体験がショックだったのか、その晩、K君は原因不明の夜泣きをして両親を悩ませた。
Y君も夜になると外を一人で歩けなくなってしまった。

学校で大騒ぎになり、新聞社に連絡

UFOが折ったとされるブドウ畑の柱
「UFOと宇宙」より
翌日24日の月曜日、学校でその事を話したところ大騒ぎになった。
担任の女性のU先生も最初は取り合わなかったが、あまりに真剣に話すので、校長先生を通じて山梨日日新聞に連絡してもらい、二人を連れて現場を見に行った。

  • ブドウ畑のコンクリート製の柱が一本折れ、もう一本が傷ついていた(折れた柱の他に二本が傾いたり倒れたりしていたという資料も)
  • 柱の上に張られたブドウのツルを這わせるための金網は、重い物を乗せたように大きく広がっていた(金網の針金はゆるんでいたが、切れてはいなかった)
  • 着陸地点の地面には数カ所の穴と、リヤカーの轍のような跡があった

U先生の証言によれば「ブドウ畑の支柱が一本倒れかけていて、鉄線が2〜3本歪んでいた他は何も変わったことはなかった。何箇所か(地面に)穴もあったがそれがUFOの着陸痕なのかははっきりとは言えない」というが、少年達はそれが着陸脚の跡だと言い張った。

事件現場の目撃証言

矢追さんの番組でインタビューされていたAさん母娘(?)によれば、現場には地面に押し付けたような直径5〜60cmの穴が一つ開いていて、白い灰のようなものがついていた。
またコンクリートの柱が折れていて、足跡のようなものもあったと思うという。
この母娘はおそらく近所の人で、翌日以降に現場を見に行ったのであろう。
足跡は現場を訪れた少年達一家や、野次馬達のものかもしれない。

現場土壌から人工的な放射線を検出

現場の土壌サンプルの放射能減衰曲線
M教諭
事件に興味を持った同市の県立機山工高電気科教諭M氏は、数日後、科学研究部の生徒達とともに現場の放射線量を測定した。
M教諭は国家資格である第一種放射線取扱主任者の資格を持っており、放射線測定技術の実地訓練という軽い気持で測定した。

自然界にも微量の放射能が存在し、放射線量の半減期は非常に長いか、短くても常に補充されるために量的には安定している。
自然界に存在する放射性物質として、例えば化学肥料には放射性同位元素カリウム40が含まれるものがあるが、半減期が12億5千万年と非常に長い。他にもウラン238が同44億6800万年、炭素14が同5700年である。

しかし教諭が現場のブドウ畑の40カ所近くからサンプルを採取し、約1ヶ月にわたってガイガーカウンターで測定を続けたところ、自然放射能よりエネルギー量が多く、また人工放射能特有の急激な減衰(=半減期が短い)が見られた。
さらにM教諭は、より精密な測定を原子力発電関係の研究所の友人に依頼した。
結果は、天然のものではないと思われる弱いβ線(電子)が検出され、地球上に存在する鉄や鉛、カルシウムなどの原子が放射線を受けて他の核種に変化したものが認められた。
ただし、それがUFOによるものか、地球上の核実験による降下物などによるかはわからなかったという。

M教諭のサンプル採取はブドウ畑内だけで他の場所との比較ができず、またどのサンプルがどの地点からの採取という記録を取っておかなかったため、UFO着陸地点ときちんと一致するかどうかが不明確である点が残念である。

現場地図

事件当時の航空写真

当時はまだけやき通りが通っていなかった。

現場周辺地図と少年達の移動ルート


より大きな地図で 甲府事件詳細マップ を表示
UFOの着陸地点を、より詳細な資料に基づいて変更しました。
地図を縮小すると、他の目撃証言の場所も載っています。

同じく現在の着陸現場付近のStreetView。正確な現場は手前のブドウ畑もしくは、現在木工ランドになっている正面の建物のあたりと思われる。
山梨県はぶどうの産地なので、市内いたるところにぶどう畑が見られる。

考察

何人もの目撃者があり、物的な証拠もあるこの事件は、実際に何かがあったという意味においてはかなり信憑性のある事件とみなすことができよう。(全員グルになっての嘘でしたと言うならともかくだが)

動転した子供の証言であるから、細かな点については実際の体験と違う点もあろうが(前述のとおり、資料によっても若干の記述の違いがある)、上空に怪しい光が飛んでいるのが見えただけの多くの目撃事件と違い、不気味なヒューマノイドと、明らかにその乗り物である物体を間近で見て接触までしたというのは貴重である。

最初に二人がUFOにつきまとわれた時、その後着陸した時、近隣住人の目撃がなかったのは残念だ。いくら至近の距離とはいえ、やはり季節的、時間的に、外を見たりする確率は低いのだろうか?

当時の空の様子

当時の星空
この日は日没(太陽が完全に地平線に沈みきった時刻)が5時36分、薄明(日没後の西の空がまだ明るい状態)終了が6時59分である。(星図ソフトiステラHDによる)
まだ顔の見分けはつくが、だいぶ薄暗くなっている時刻だ。
これは最初のUFO目撃が6時30分だった場合だ。宇宙人との遭遇までどれだけかかったかによって、それだけ辺りの暗さは増してくる。
まだ周囲の家もまばらで街灯も少なかったであろう時代だから、暗さは都会の生活とはだいぶ違うものだったはずだ。
西の空10度くらいの低い位置に金星と木星が並び、東の空46度に月齢12.2の月が、61度に土星が上っている。
オリオン座、おうし座、おおいぬ座のシリウスなど、冬の星座もまだ南の空に目立つ時期だ。

気象庁の過去の気象データ検索によると、甲府の午後6時は雲量2、北北西の風、風速3.3m。気温4.1度と、かなり寒かったようだ。
雲も少なく、まあまあ星は見えたであろう。弱い北風もあり、星にまたたきは見られたと思う。
上空を飛行機が通過すれば、それも見られたろう。

他の目撃者の証言について

明滅しながら飛ぶUFOを目撃した幾人かの証言があるが、全て同じUFOなのかどうか、飛行機や星の見間違いではないのかどうかはわからない。

証言が正しければ、UFOが強く光って消える瞬間、宇宙人はUFOに乗っておらず、横に歩いていたようだ。そのまま歩いて保険外交員Sさんとの遭遇地点に行ったのだろうか。何のために?
すぐそれを追うように少年達の一家(と思われる集団)がその方向に向かったのに、遭遇できなかったことになる。
もしSさんが「UFOを見なかったか?」でなく「宇宙人を見なかったか?」という質問をされていれば、Sさんも思い当たって、少年達の一家がもっと詳しく周辺を探していたかと思うと、残念でならない。

南山宏氏による疑問点

UFO研究家である南山宏氏は、事件に高い信憑性を感じつつも、針金と柱によって囲まれたブドウ畑の中心に、どうやってUFOが侵入したのかについては疑問を呈している。
UFOが畑の脇から横滑りして中央付近まで移動した可能性はあるが、柱の間隔とUFOの大きさを比べると、外側の柱を傷つけずに中央付近に入る事は物理的に不可能である。同様に真上から降下したとしても、針金を切らずに降りる事は不可能だ。
中央付近に着陸するまでの間、幽霊のように柱をすり抜けてきたのだろうか。それとも実際のUFOの大きさがもっと小さかったのを、大きく感じてしまったのだろうか。

折れた柱、曲がった針金、リヤカーのような轍がUFOによるものなのか、元からそうだったのかはきちんと調べられたのだろうか?

ウルトラマンの宇宙人に酷似?

二人が目撃した宇宙人に似ていると言われる、ウルトラシリーズの宇宙人
バット星人(左)とフック星人
宇宙人の描写については、「帰ってきたウルトラマン」最終回(1972年3月31日本放送)の「バット星人」のソフトビニール人形に似ているという意見がある。
顔中のシワということなら、ウルトラセブンに出てきたフック星人(1968年8月25日本放送)の方がさらに似ていると思う。
何度も再放送されており、当時の子供なら見ていておかしくない番組だ。
事件の真偽はともかく、宇宙人の描写が無意識にその記憶に引っ張られたことは十分に考えられる。

見間違えの可能性

当時は日没後のかなり薄暗い時間帯であり、そのような中でどれだけ一般的なもの——たとえば自動車やマスクなどを付けた人——をUFO、そして宇宙人に見誤る可能性があるだろうか?
フラットウッズ事件のように実際の目撃がわずか数秒間の出来事であればともかく、5分、10分という単位で見ていても気付かないのなら、昼間見ても見間違えるくらいのよほど特異な姿をしていたのかもしれない。

たとえば、全身を覆う防毒マスクを着込んで農薬でも撒いていたというのはどうか? 銃に見えたのは肩にかついだ散布用のノズル。作業をしていたのは背の低い老人夫婦。
ざっと調べたところ、2月下旬にブドウの農薬を散布する場合もあるようだ。

しかし、全身を覆わねばいけないほどの農薬なのか?
なぜ日が落ちてから作業をしたのか?
なぜあっと言う間に撤収したのか?
ブドウ畑の持ち主がなぜ証言しないのか?
そもそも上空のUFOおよび、ぶどう畑にいたUFOは何を見間違ったものなのか?
など疑問点も多いので、これは苦しい説だと思う。

誰かのイタズラ説

UFOブームの最中であり、人を脅かしてやろうという連中がいてもおかしくない。
しかし誰を脅かすつもりだったのか?(誰でも良かったのかもしれないが)
宇宙人の低い身長や、UFOに見せかけた何かを用意しあっと言う間に撤収するなどを考えると、子供だけ、大人だけのしわざとは考えにくい。
いずれにせよ、前後のUFOの目撃(見誤りも含んでいるだろうが)までは説明がつきそうにない。

暫定情報・Sさんの目撃時刻について

2017年出版のASIOS著「UFO事件クロニクル」によると、保険外交員のSさんが怪人達と遭遇した時刻については、事件のだいぶ前、5時半〜6時頃なのだという。
筆者(雅)がその説の根拠になる資料を実際に確認していないので、ここでは暫定情報としておく。

これが本当なら、事件の1時間ほど前から、他の一家でさえ家族して追いかけたくなるような飛行物体が付近にあったこととなる。それがK君、Y君が見たUFOと関連があるのか、ただの偶然の誤認なのかはわからない。
棒を持って追いかけていたというのは、偶然に持っていたのでないなら、UFOが着陸した場合に備えてではないか。よほど着陸しそうな低空を飛んでいたんだろうか。

5時半〜6時のまだ若干明るい時間帯、K君、Y君もローラースケートで遊んでいた頃だろう。そんな時間帯にUFOもしくはそれに誤認するような物体が飛行していて、もっと多くの目撃証言がないものだろうか。
そもそもSさんとすれ違った一家は誰なのか?

Sさんの証言が嘘でも誤りでもないなら、UFOっぽいものを飛ばす、宇宙人っぽい服装の人物が周辺をウロウロするなど、少々大掛かりなイタズラか何か(それはもしかしたら本物のUFOと宇宙人かもしれない?)が行われていたことにならないだろうか。
  • Sさんの怪人目撃時刻はいつか?
  • Sさんとすれ違った家族は誰か?

総括

この事件をもって宇宙人(地球外知的生命体)が地球にやって来ているということを肯定できるかと言われれば、残念ながらそれはまだできないだろう。
地球の乗り物と思えないような乗り物でやって来た不気味な生物ではあるが、宇宙からやって来た証拠はどこにもない(当然宇宙からやって来なかった証拠もない)。

折れた柱や人工的な放射線の検出も、厳密には(警察による犯罪捜査などと比較して)どこまで証拠として認めていいのかどうかはわからない。
それでも非常に不思議な事件であることに変わりはない。いつか謎が解明されることを望む。

2019年の追記

2006年に始めたこのUFO事件簿だが、10年以上にわたって古今東西の事件を見てきた上での感想として、おそらく全ての事例は科学で説明のつく現象だったんだと思う。(極めて稀な自然現象や、被験者の精神作用、嘘なども含む)
しかしそれが様々な理由で被験者にとって不思議なものに感じられ、外部の研究者/調査者も研究/調査不足から未解明のまま不思議な出来事のように語り継がれているのだと考えられる。
この甲府事件もおそらくはなんてことないものの見間違いと偶然が重なり(もしかしたら少年達の嘘も?)、不思議な事件になっていると推測される。それを超常現象としてのUFOと宇宙人というものを安易に持ち出さず、科学的/合理的に解明していくことが真相究明への鍵だと思う。
その上でまだ解決できなくてもそれはあくまで調査不足であり、超常現象が存在することにはならない。超常現象が存在するという結論が出る場合があるなら、それは実際に空飛ぶ円盤と宇宙人(宇宙から来てなくても人間以外の高等生命体)が実際に公の前に現れた場合になるだろう。そうした時が訪れることを心より願いたい(相手が友好的で無害な場合に限るが)。
そしてそれまでの間、常識と非常識の間を漂いながら、この事件について考察することを楽しみたい。

参考資料

18 件のコメント:

  1. 海外の事例にも宇宙人の声が鳥のさえずりのようだったという証言があり興味深いです。

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    1. 雅@運営者です

      そういえば本件以外には宇宙人の声の情報ってあんまり知りません。
      チェンニーナ事件の宇宙人が「リウライロイ…」と中国語のように喋ったとはありますが、声の高さとかそういうのは書いてなかったような。
      宇宙人というと、のどをトントンやりながら「わーれーわーれーはー、うちゅーじんだー」と甲高い声でしゃべりそうなイメージもありますがw

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  2. 失礼します。
    ご存知かもしれないのですが…2017年2月22日(水)に東海テレビ「世界の何だコレ!?ミステリー(19:57~20:24)」という番組で、この甲府事件の当事者2人へのインタビューやっていました。お二人とも元気そうで、本人たちはやはり “あれは宇宙人だった” “滅多に経験できない貴重な体験だった” と話されていました。

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    1. 雅@運営者です

      こんにちは。
      番組は自分も見ました。感想はこちらに書きました。
      https://9315.teacup.com/ufo/bbs/t1/90
      今年も同じ映像使って再度取り上げてましたが、新情報はナシです。
      子供の嘘という説もありますが、少なくとも誤解させるような何かは実際にあったんだろうなと考えています。
      生きてる間に真相がわかるといいんですが。

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  3. この事件で昨年辺りに雑誌に出た情報で、少年達が目撃した円盤と思われる物体がナチスドイツが開発したハウニブーⅢに形状が酷似しているという話と少年達が目撃した宇宙人の背中にチャックのような物があったという証言がありますが、それらの話から、どういう可能性が考えられると思われますか?

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    1. こんにちは。
      ハウニブについては詳しくありませんが、開発の事実および実在が確認されていない噂程度のもののようですし、宇宙人の背中にチャックという話もこれまでのある程度信用できそうな資料には載っていないものです。
      同じ雑誌に載っていたのでしたら、その雑誌、もしくはライターによる話題作りのための嘘か思い込みの可能性が考えられると思われます。

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    2. ちなみにどこが出している何という雑誌で、証言者とライターの名前は誰ですか? わかったら教えてください。証言者は目撃者のK君、Y君ではないと思いますが。

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  4. 早速の返信ありがとうございます。雑誌は、学研の月刊ムーで、確認したら自分の勘違いで昨年ではなく、2017年の3月号でした。特集記事で「ナチスUFOと異星人接近遭遇「甲府事件」の謎」という、かなりのページ数で出てます。ライターは著名な並木伸一郎氏です。その記事では背中にチャックがあったという証言は、Y君の方で、Y君が書いた当時の目撃した宇宙人のイラストには確かにチャックのような物が書かれています。自分も他の雑誌やテレビのインタビューとかでも、その証言は聞いた事なかったですが、この雑誌には間違いなく正しい記事として出てます。もし、確認出来たら分かると思います。

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    1. まずお詫びと訂正から。
      宇宙人の背中にチャックという記述は、事件当時1975年6月号の「UFOと宇宙」誌の記事中に、K君の証言として「洋服を着ていたみたい。背中がチャックのように……」とありました。宇宙人の後ろ姿を描いたスケッチにもそのようなものが描かれてますね。私の確認不足です。大変失礼しました。
      むろん当時の資料だからとて全部そのまま鵜呑みにはできないでしょうが、もしそのチャック様のものが本当であったなら、本文にも書きましたが全身を覆う服を着た小柄な人達が作業をしているのを宇宙人と見間違えた可能性などが推測されます。以前はそんな目の前で長い時間見ていたものを見間違えるのはおかしいと思っていましたが、最近はどんなに目の前で見ていても、異形の何かに見間違うことがあると思う様になりました。もちろんまだ推測の域を出ていませんが。
      ハウニブについてはムーにどのように書かれているかはわかりませんが、形が似ているからというだけで、何十年も前の遠く離れた国で作られたかどうかもわからない兵器が超常的な出現をしたという大無理があります。

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  5. 自分は、この背中のチャックという証言から小柄な人間がマスクも被って宇宙人の扮装をしてたか、宇宙人のような生物がチャックの着いた銀のスーツを着てたかの、どちらなのかな?とも思えたのですが、その可能性も無いですかねー?ただ、少年達の証言が正しいとした場合、最後に発光した円盤が、その場から消えたような話もあるから人間の出来る事では無いと思うので人間の扮装みたいのも違うのかなー、とは思えます。それらを踏まえても、やっぱり、作業してた人の見間違えの可能性が一番高いと思いますか?

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    1. 宇宙人の扮装だとすると、何のために? なぜこんな田舎町で? という疑問があります。
      UFOが消えたというのはあくまでも遠目に光が消えるのが見えただけですね。
      作業中の人の見間違い説も、そんな時期に何やってた? 何で「作業してた私たちでした」って名乗りを上げない? など考えなければいけない事は多いです。
      いろんな解釈はできると思いますよ。ただこのコメント欄のやり取りだけで細かくお話しするのは大変です。
      あと、返信する際はコメント下の「返信」ボタンでしてくれるとちゃんとツリーになるので助かります。

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    2. 作業中の人の見間違え説だと、少年達が事件の日、不思議そうに見回ってたら作業中の人が「僕達、危ないから近くに来ちゃダメだよ」とか普通に言うんじゃないかと思いますね。あと、事件以前でも以後でも、そういう作業してる人達は見掛けてると思うから、さすがに少年でも違いは分かると思うし、親達は、さすがに、すぐに気付きそうですよね。

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    3. そういう考えもあると思いますよ。危険な作業じゃなきゃとりあえず作業が一区切りつくまでほっておいて、ようやく注意したのが例の肩を叩いてキュルキュルだったりして。

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    4. 作業中の人説の場合で、キュルキュルという音が作業用のホースを巻き上げる音ではないかという説も一部ネット上で出てますが、それは、どう思いますか?

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    5. どうでしょうね? わかりません。

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    6. ちょっと気になったので知りたいのですが、運営者さんの前のコメントにあった、以前は長い時間見ていた物を見間違えるのは、おかしいと思っていたけど最近は長い時間見ていても異形な物と見間違える事はあると思うようになった、理由というか、きっかけは何だったのですか?

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  6. 無視ですか?ちょっと、私とのやり取りは面倒くさかったですかねー?(笑)

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    1. 聞けばなんでも答えてもらえると思った?
      実際、ちょこちょこ一問一答みたいにあれもこれも聞かれるのは面倒ですね。こちらが答えるのはあくまで暇な時に好意で…ということになります。
      また、家のmacOSがバージョンアップしてから普段使ってるSafariじゃなく、いちいちChromeを起動しないと運営者として返信できないので、それも返信遅らせてる一因です。
      いくつもコメントつくとページが長くなって読み込みにも影響しますし、コメント通知が送られてこずに気づかない場合もあるなど使い勝手が良くないんで、こっちのコメント機能は閉じようかと考えてます。

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