2015年11月8日日曜日

ロニー・ヒル事件

1967年7月21日/アメリカ/ノースカロライナ州パムリコ郡
Pamlico, North Carolina, U.S.

概要

家の裏庭に着陸したUFOから宇宙人が現れ、少年がそれを写真に収める。
宇宙人は漏斗のようなものを地面に抜き差しして去って行く。


詳細

悪臭のするUFO

7月21日金曜日の午後、ノースカロライナ州パムリコ郡の町に住むロニー・ヒル少年(Ronnie Hill/14)が家の裏庭で作業をしていると、ガスのようなひどい臭いがして目から涙が出始めた。
同時に、いつもなら聞こえている鳥の鳴き声や犬の吠える声がせず、周囲が妙に静かなことに気付いた。

15分程後、ロニーはブンブンという音を聞き、さらに強烈になった臭いを覚えた。
そしてその音を聞いた時に、空に奇妙な物体を見つけた。
それは黒い帽子のように見える大きなUFOだった。
その後、直径9フィート(2.7m)ほどの白い球体が降下してくるのに気付いた。
ロニーはUFOを見たと言っても証拠がなければ誰も信じてくれないだろうと思い、あわててカメラ(コダック社製Sabie 620)を家に取りに行った。
急いでいたので、今見たものについて話している余裕がなかった。
カメラを取って戻って来ると、あの球状のUFOが地面の上に着陸していた。

小人宇宙人登場

補正、トリミング前の全体像
5秒程後、耳をつんざく大きな音を聞いた。
見ているとUFOの後ろから、身の丈3.5〜4フィート(1〜1.2m)の小人宇宙人が姿を現した。ロニーはその様子に驚いて息が切れてしまった。

  • 大きなノーム(Gnome/西洋の醜い妖精の一種)のような青緑色の頭
  • 目は傾いているか斜め
  • 光る銀色のヘルメットとスーツを身にまとう
  • 腰のまわりに濃い青の帯がある
  • ひょろ長く細い足

ロニーに15フィート(4.5m)まで近づくと、宇宙人は右手に持っていた漏斗(じょうご)のように見える黒いものを地面に差し込み、それを引き抜くと、後ろを振り向いてUFOに戻って行った。
宇宙人は終止ゆっくりよたよたと歩き、振り向いた時は、足がこわばって制御できず揺れているように見えたという。
再び大きな音が鳴り、UFOの下から青く明るい炎が出て上昇し、再び大きなUFOに接続されると、驚くほどの速さで上昇し、木の上を飛び去って行った。

この出来事の間、ロニーはシューというかすかな音を聞いていたが、それがUFOと宇宙人によるものかはわからなかったという。

写真をマスコミに送る

ロニーは撮影した写真を、ニューヨークのデル出版の「フライング・ソーサー、UFOレポート(Flying Soucers-UFO Reports)」誌あてに送ったが、雑誌社が資金難で廃刊が決まった直後だったため、それは採用されなかったようである。
しかし、同誌ではロニーの手紙を超常現象研究家のジョン・A・キール(John. A. Keel)に送った。
事件を知ったキールだが、ロニーの手紙は事件の詳細が書かれていなかったので、少年と手紙のやり取りを始めた。
ロニーの返事が非常に遅かったため、キールと雑誌社は彼に長いアンケートを送った。

ロニー少年の評判

ロニー・ヒルは14歳の事件当時、中学2年生で、地元の4-Hクラブ(雅注:どういうクラブかはわからない)の部長、ボーイスカウトのアシスタントパトロールのリーダーを務めており、正直、賢明、勤勉な少年として良い評価を得ていた。
キールは、ロニーの両親、学校の先生、彼の地元の4-Hクラブの成人の指導者から、彼が嘘をいうような人間ではないという交渉宣誓供述書を得た。
ロニーの両親は、住所がマスコミで公開されることを嫌ったため、公開はされていないが、研究者に対しては公開可能だという。

ジョン・キールによる検証

ジョン・キールと雑誌社による検証は以下のとおりだ。
唯一撮影された写真は、青みがかり、両端に霞がかかったようなものだ。
この霞がかったような写真は、UFOから放出される放射線か何かの作用によるものだと示唆されているので、ロニーにとって有利な材料だという。
オリジナルのカラー写真は非常に鮮明で、ニューヨークのいく人かのプロの写真家にそれを見せている。
キール達は写真を精密に調べたが、人形などを使ったインチキではないように見えた。
オリジナルの写真では、宇宙人は高いほお骨と肉質の頬を持ち、ドイツ人のヘルメットのようなものをかぶっているようにも見える。
宇宙人の腰回りの青い帯については、南米の事件でいくつか目撃されている。
UFOからの大きな音も、世界中のUFO着陸事件で報告されている。
ロニーの住む地域では、「TRUE OR SAGAマガジン」(雅注:超常現象雑誌だろうか)を売っていないため、彼がそれらの事件の詳細について知っているとは思えない。
キールと雑誌社は、手紙でオリジナルのネガフィルムを送ってもらうのは賢明でないと考え、ロニーにそれを求めないことにした。
そのため、キール達はオリジナルネガフィルムを見てはいないが、それを持っている大人達(雅注:ロニーの両親らだろうか?)と話をしたことはあるという。
別の事件で撮影されたUFO写真がマスコミで勝手に利用され、撮影者に一銭も入らなかったため、ロニーは写真を著作権登録したという。
そしてキールらの助力によって、事件に興味のある研究者が低料金でカラー写真を得られるようにしようとしているという。

現場周辺地図

より大きな地図でUFO事件マップを表示
実際のロニー少年の家がどの町にあるのかわからないので、かなりだいたいの位置です。

考察

数々の疑問点

ネットを探してみたが、探し方が悪いのかほとんど情報が出てこなかったので、ソースサイトによる検証を転載する。

  • 宇宙人の写真だというのに、写真の専門家によって調べられていない。
  • UFOと宇宙人以外に、大きさを比べることができるものが写っていない。背景に木も家も写っていない。
  • 写真がとても不鮮明で、宇宙人なのかなんなのかはっきりしていない。
  • 宇宙人は少年から15フィート(4.6m)ほど前にいて、しっかりと彼を見ているように見えるが、なぜ少年が写真を撮るのを許したのだろう? まるで少年のことなど気にかけてもいないようだ。もし私が宇宙人で、何か秘密の使命を行っているなら、写真を撮ろうとしている少年を殺してしまうか、少なくとも少しは怖がらせようとするだろう。
  • ロニー少年は真っ先に著作権を自分のものにして、写真から出る利益が全て自分のもとに行くようにしており、写真で利益を上げたかったに違いない。

たしかにオリジナルのネガフィルムが調べられていないのは腑に落ちない。
キールは郵送による紛失を恐れていたのだと思われるが、それなら自分で現地に行けばいいのだ。
フィルムの確認、ロニーへの直接の取材、現場の確認など、できることはいくらでもある。

写真の検証

ネットで調べてもいい写真が出てこなかったのだが、当サイトの談話室で「ツチノコ」さんに教えていただき、非常に鮮明な写真を入手した。ありがとうございます。

人形のようにも見えるが、周囲の草木と比較すると(草木の高さがわからないので想像となるが)たしかに1m程度の身長はありそうだ。人形だとするとかなり大きいことになる。
顔と体の光り方に違いがあるので、別の人形の頭と体をくっつけたようにも見える。頭部は「しかめっつらをしたキューピー人形」っぽく見える。

青みがかって不鮮明なのをUFOからの放射線の作用だと疑っているが、インチキがばれないようにわざと不鮮明に撮った結果ということはないだろうか。
そもそもオリジナルの写真はカラーフィルムだったのか、白黒フィルムだったのか? 1967年であればまだ高価ではあってもカラーフィルムは普及していたはずだし、「青みがかった」云々言っているのだから、カラーだったと考えるのが自然だろう。

そもそも事件はいったい何時に起こったのだろうか? キールのレポートでも午後としか書かれていない。
せっかくカメラを持ってきたのに1枚しか撮らなかった点も謎だ。(この件に関しては後述)

大きな音を出していたのだから、両親や近所の人達はその音や姿を目撃しなかったのだろうか。

手に持っている漏斗(じょうご)のようなものというのも、写真ではわからない。それを刺したという地面、UFOがあったという空き地の調査もされていないのだろうか。

ネットで調べても情報が少なかったので、断定はできないが、かなり疑問の残る事件だ。

Sabie 620カメラは実在しない

談話室でSemさんに教えていただいたのだが、コダック社にSabie 620なるカメラは実在しない。(そのことを指摘しているUFO情報サイトもあった)
どうやらキールがフライング・ソーサー・レビュー(FSR)誌に書いたのが情報の出どころらしい。
Sabieが何を意味しているのかはわからないが、コダックには幅約6cmの620フィルムを使ったモデルが存在しており、オリジナル写真の正方形の画角から見て6×6cm(ろくろく)判を扱う、Kodak Hawkeyeもしくは、二眼レフのKodak Brownie Reflexあたりのカメラではないかという。
Brownie Hawkeye

Brownie Reflex 20
Hawkeyeの方は、シャッター速度が1/30秒固定(バルブ開放はある)、絞りがF/11(ストロボモデルはF14.5〜16)のようで、当時のフィルム感度などはわかりかねるが、手元のEOSで感度ISO100にして撮影したところ、青空などは白く飛んでしまった。レンズフレアも起こしやすいようで、露出オーバーになりやすいという。
またフィルムを巻くのも面倒くさく、どれだけ巻いたのかを確認しなければいけなかったため、連続しての再撮影は困難だった。

Reflex 20の場合は上からのぞくファインダーなので、仮に事件が真実だとした場合、宇宙人が写真を撮られているのに気付きにくかったのではないかとも指摘していただいた。
Semさん、どうもありがとうございます。

参考資料

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