2016年4月19日火曜日

カンバーランド・スペースマン

1964年5月23日/イギリス/北イングランド カーライルの西8マイルのバーグマーシュ(沼地)
Burgh Marsh, North England, U.K.

概要

娘の背後に謎の宇宙飛行士が!?
娘の背後に写り込んだ、まるで宇宙服を着ているかのような謎の人物。
同時刻、オーストラリアのロケット発射場でも同じ姿の人影が目撃されたとして謎が深まる。

詳細

ピクニック先で

1964年5月23日、消防士のジェームズ・テンプルトン(James Templeton)は、北イングランドはカーライルの自宅から西8マイルにあるバーグマーシュ(Burgh Marsh)と呼ばれる自然公園に、妻アニーと5歳の娘エリザベスを連れて行った。
バーグマーシュには羊と牛がいたが、何かにおびえているように見えたという。二人の初老の女性が3〜400ヤード先の車の中で編み物をしているのを見た。
その日は天気もよくて温かく、アマチュアカメラマンである彼は、芝生に娘を座らせて写真を撮影した。

ジェームズ・テンプルトン
左が妻のアニーと思われる
数日後、現像から上がってきた写真を見て彼は困惑した。続けて3枚撮影した写真の真ん中の1枚にだけ、娘の背後にいたはずのない宇宙飛行士のような人物が写っていたのだ。
一家は他の人には出会わなかったし、他の写真にもこの宇宙飛行士は写っていなかった。
写真は友人、同僚、警察、そして最終的にはフィルムの製造元のコダック社によって徹底的に調べられたが、トリックなどは確認されなかった。
コダック社では「この謎が解けた人には一生分のフィルムを提供する」として広告したが、やはり誰もこの謎を解くことはできなかった。そしてこの話は世界中に知られることとなった。
ジムは記者の質問に対し、あの時まったくUFOは見なかったこと、そしてUFOにも興味がないと答えた。
しかし、バーグマーシュ付近の漁師が多くのUFOを目撃していることは承知していた。人々は、近くにあるチャペルクロス原子力発電所と関連があるのではないかと思っていた。

MIB現れる

問題の写真が新聞によって世界中に知られることになったところ、彼の家に黒服を着た二人の妙な男達が黒いジャガーに乗って訪ねてきた。
彼らは自らを皇后陛下の政府の者と名乗ったが、証明書の呈示は拒否した。そしてジムに写真を撮影した場所に連れて行くように求めた。
バーグマーシュに着くと、彼らは写真が撮られた時の天気やどんな動物がいたかなどを事細かに尋ねてきた。
彼らは写真がジムのいたずらだということを認めさせようとしたが、それを拒否したため、ジムを彼の消防署から5マイルの場所に残して去って行った。

オーストラリアにも現れた謎の宇宙飛行士!?

騒ぎはオーストラリアに飛び火した。
ジムが撮影した写真を見たオーストラリアの新聞社が、同じものが目撃されたのでネガフィルムのコピーを送って欲しいと言ってきたのだ。
オーストラリアのウーメラ(Woomera)は、イギリスのブルー・ストリーク・プロジェクト(Blue Streak Project)と呼ばれる大きな宇宙計画のロケット発射場だった。

ジムが写真を写したのと同じ1964年5月23日、ロケットの発射カウントダウン中、白い宇宙服を着た二人の男が発射台を歩き回るのを監視カメラが見つけ、発射が中止されたというのだ。謎の二人は探されたが、とうとう見つかることはなかった。
オーストラリアの技術者はジムの写真を見て「モニターで見た男に似ている」と語った。
この異常な事件は、ジムが写真を撮影した数時間以内に起こっていた。
後にジムは、ブルー・ストリーク・プロジェクトのためのロケットがイングランドのSpadeadamで製造されているということを知った。それは写真を写したバーグマーシュから2〜3マイルの場所だった。
オーストラリアの記者は5月23日に撮影された監視カメラのフィルムを見ようとしたが、ブルー・ストリーク・プロジェクトの間に撮影されたフィルムのうち、それだけが紛失していた。

エリザベスの背後にいた宇宙飛行士は誰なのだろう? 娘の背後に歩いている人がいたとしても、ジムはそのようなものが見えている間は決して写真は撮らないのだという。
オーストラリアの技術者はロケットの発射前に何を見たのか? 彼らは同じ宇宙人を見たのだろうか? ブルー・ストリーク・プロジェクトが二つの事件に共通しているように見える。
これはいったい何を意味するのだろうか。

現場周辺地図


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このマーカーの位置は海外の検証サイトに載っていた位置を参考に、GoogleMapの地形表示でBurgh Marshと書かれていた位置によった。正確な現場もこの付近だろう。
最近画像の解像度が大幅に改善され、StreetViewも見られるようになったので、ぜひ見てみて欲しい。(「より大きな地図で〜」をクリックし、オレンジ色の人型アイコン(ペグマン)を道路上にドロップ)
道路の南側はいくらか土手になっているようだ。
北西に行くとクレカ(Creca)の町にチャペルクロス原発がある。

オーストラリアのウーメラにあるロケット発射場


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ウーメラ一帯にはロケット発射場やミサイル発射場などがいくつもあり、謎の宇宙飛行士が現れた発射場までは特定できなかったので参考までに。

40年を経たジムの手紙

以下は2002年に英国のDaily Mail紙に掲載されたジェームズ・テンプルトンの手紙である。
1994年にテレビ出演した時のジェームズ・テンプルトン
立っているのは撮影現場だ。
家族の日帰り旅行のカメラマンとして、コダカラーフィルムを入れたSLRカメラを1964年5月23日にバーグマーシュへ持って行きました。
私は娘の写真を3枚撮り、その真ん中の1枚に宇宙飛行士のような者が写っていたことに衝撃を受けました。
地方紙のカンバーランド・ニュース(Cumberland News)がこれを記事に取り上げ、数時間のうちに世界中に伝わりました。
写真は偽物ではありません。 この写真の背景がなぜこのようになったのか、他の人と同じように困惑しています。
40年にわたり写真は自由に公開され、いろいろな考えや可能性について何千もの手紙を受け取りましたが、ほとんど意味をなしませんでした。
私はこの写真でお金を受け取ったことがないことに注意してください。
私の琴線に触れたのは、写真が世界中に公開された一ヶ月後にオーストラリアのウーメラから届いた手紙だけでした。
私の写真が撮影されている最中に、ブルー・ストリーク・ロケットのカウントダウンを止めたので、そこの人々は色の良い写真のコピーを見たがっていました。
よく似た二人の宇宙飛行士は、明らかにロケットに近くに現れました。
後日、私はブルー・ストリーク・ロケットの一部がバーグマーシュで作られ、テストされていると知りました。
ジェームズ・テンプルトン
すっかり大人になったエリザベスと父

考察

本当に宇宙飛行士なのか?

MIBやオーストラリアの謎の宇宙飛行士の件も巻き込んだ、不気味な事件になっている。
写真を見る限り、宇宙服と言われればそんな気もするが、白いベレー帽のようなものをかぶったおじさんがむこうを向いているだけにも見える。
そもそも当時の実際の宇宙服はこんなに体に密着した細いものではない。こうしたものが宇宙服なのはSFの中くらいだろう。
当然であるが、「宇宙飛行士っぽく見える何か=宇宙飛行士」ではない。

気づかなかっただけ?

実際に撮影される視野(左)と、カメラのファインダー視野
撮影した同型のContax Pentacon F SLRカメラ
海外の検証サイトでは、撮影したカメラのファインダーの視野と実際にフィルムに撮影される視野を比べ、ファインダーでは全体の約70%程度しか見えていなかったため、娘の背後の人物に気づかなかったのだろうとしている。

写真が騒ぎになればなるほど、「絶対他の人はいなかった」という思い込みは激しくなるだろうし、「もしかしたら気付かなかっただけなのかも…」と考えても言い出しにくくなるだろう。

オーストラリアの謎の宇宙飛行士もどれだけちゃんと確認されたのかわからないが、多少の共通項があったとしても、遠く離れた場所で目撃された宇宙飛行士っぽい人影と宇宙飛行士っぽく見える写真を、短絡的に結んでいいわけがない。

正体は母親か?

問題の写真の前後に撮られた写真
この写真は問題の写真の前後に撮られたものだが、右にもう一人の人物が写っている。これは母親のアニーだ。
背後の人物について、現在ではこの母親の姿が強い日差しを受けて白飛びして写ったものではないかという検証が一般的だ。
親子以外に人がいなかった点、母親なら誰かがいてもよけい気にならない点などで合点が行く。言われてみればなんとなくノースリーブの服を着ているようにも見える。
ただしジムは、妻は撮影時に自分の後ろにいたと主張している。
白人の白い肌とはいえ、あそこまできれいに白飛びするのかどうかはわからない。
また母親本人を含めて、姿を見間違えるのだろうかという感じもする。もし嘘か大きな勘違いをしていないのであればだが。

MIBは迷惑なマニア?

本件に限らずMIBというのは、心ないUFOマニアが身元を偽って情報収集したり、他のマニアに手柄を取られないために「目撃を口外するな」と脅したり、証拠を持ち去ったりしていた話に尾ひれがついて伝説化しているという説もある。
本件に関しても、そのような臭いが感じられる。

そもそもUFO事件なのか

今回は明らかなUFOというものが登場しないので、UFO/宇宙人の事件と言えるかどうかは微妙なところはある。無論、MIBという現在ではかなりお馴染みの存在が登場しているために、広い意味でのUFO事件の括りとされている。

この事件は以下のように様々な名前で呼ばれているようだ。

  • カンバーランド・スペースマン(Cumberland Spaceman)
  • カンブリア・スペースマン(Cumbrian Spaceman)
  • テンプルトンの宇宙人
  • テンプルトン写真
  • ソルウェイ・スペースマン(Solway Spaceman)
  • ソルウェイ・ファース・スペースマン(Solway Firth Spaceman)

参考資料

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