2019年4月13日土曜日

2019/4/11付 世界初、ブラックホールシャドウの撮影に成功

情報ソース:EHT-Japan国立天文台アストロアーツ朝日新聞DIGITAL
EHTが撮影したM87銀河のブラックホールシャドウの画像
クレジット:EHT Collaboration

国立天文台などのチームの会見(ノーカット)

日本も参加する国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」が、おとめ座の方向5500万光年の距離にあるM87銀河の超大質量ブラックホールを撮影することに成功した。ブラックホールの存在は物理学者アインシュタインの一般相対性理論によって理論的に予言されており、これまでも様々な観測によって間接的に存在することが示されていたが、その画像が直接撮影されたのは史上初となる。ただし当然可視光での撮影ではない。

EHTは世界13ヶ国、200人以上の研究者が参加し、ハワイ、南米、南極など、各地の8つの電波望遠鏡を一体化させ、人間の視力300万に相当する地球サイズの巨大で高解像度な電波望遠鏡として機能する。

EHTがM87のブラックホールを撮影したのは2017年4月。観測データを画像化したところ、光に囲まれた黒く丸い領域が現れた。その後慎重な検証を経て、これが間違いなくブラックホールシャドウの画像だと確定した。

ブラックホールシャドウ

ブラックホールシャドウの原理
Credit: Nicolle R. Fuller/NSF
ブラックホールは近づくと光さえも吸い込まれてしまうため、本体自体は見ることができない。そのかわり、吸い込まれない近さを通る光が進路を曲げられてこちらに向いた光が今回の画像の光の輪として写り、輪に囲まれた暗い領域がブラックホールシャドウとして間接的に見えることになる。
今回も正確にはブラックホールシャドウを撮影したということになるが、ブラックホールそのもの自体は絶対に写せないものなので、これだけでも十分な偉業だ。

ブラックホールの規模

ブラックホールシャドウの大きさは1000億km(太陽〜海王星の約22倍)、実際のブラックホールの大きさを示す「事象の地平(イベント・ホライズン)」の大きさは400億km。ブラックホールの質量は太陽の65億倍と考えられる。

M87銀河と中心からのジェット
ハッブル宇宙望遠鏡撮影
Wikipediaより
これまでM87中心部から伸びるジェットが撮影されていたが、今回の画像ではブラックホールからのジェットの噴出が映っていない。この関連については今後の研究課題だという。
M87銀河の位置
——理論から導き出され実際に存在が確認された天体として、科学の正しさを示す根拠の一つの例だ。
ちなみにM87といえばウルトラマンの本来の故郷があるはずだった天体だ。(途中で誤ってM78になったという。もっとも、正確には名前は一緒だが設定上は架空の天体らしい)
かつてはM87星雲などと呼ばれていたが、太陽系のある天の川銀河の外にある別の銀河ということがわかり、最近はM87銀河と呼ばれる。
M87銀河はおとめ座の領域にあるおとめ座銀河団に属する。

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